1. |
中小の商社は一般的に、短期融資を必要とする場合、大手の取引相手に支援を求める。日本の金融関連法では一定の条件の下、商社が認可なしで融資することを認めている。こうした取引は、物品売買取引として報告され、日本の特殊なビジネス環境を作り上げている。循環取引は合法であるどころか、非上場企業間では一般的な商慣行とされている。(日本の上場企業の場合、金融商品取引法の規制によって財務諸表の虚偽記載が疑われれば、会社とその経営陣に罰則が課されることがある。)
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2. |
日本の企業文化が、取引相手の上層部の間で協力関係を深めている。その結果、取引相手から融資の支援を求められると断れないことも多い。
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3. |
他国と比べ、通常の事業取引は相互の信頼に基づいて行われることが多い。循環取引で、取引実体を示す文書記録がほとんど、場合によっては全く残されていないことも多い。
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4. |
日本の会社法人組織(株式会社、K.K.とも呼ぶ)は全て、会社のトップである代表取締役を設置する必要がある。代表取締役は契約により会社を拘束する権限を持つ。そのため通常、取引相手側が契約締結の権限を証明するものを求めてくることはない。これにより、子会社の代表取締役は親会社から承認を受けずに、容易に取引を行うことができる。
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5. |
商事紛争において、循環取引の妥当性の判断は、裁判所が単独で行う。つまり、裁判所は各売買契約の妥当性と、次に挙げるようなより広範な問題を考慮する必要性があるかを判断する。
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取引の経済性(今回の場合、取引によってハシ社が被った損失とイチ社とオミズ社が得た利益) |
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取引による財務面への影響(ハシ社とイチ社、オミズ社が収益とバランスシート上の数字を水増ししていたという事実) |
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虚偽表示、その他不正を示す兆候(取引文書に架空の最終の買い手が含まれている等) |