いい税理士の探し方・頼み方


第4回 もしも税理士とトラブルになったら?

 税理士と付き合っていく中で、トラブルが起きてしまうことはあります。

 たとえば、税理士があらゆる知識や経験を総動員して、もっとも適切な節税をしているのに対し、依頼主は「少しでも税金を安くしてほしいのに、あまり節税効果が感じられない」と感じている場合もあります。税理士としては「節税効果が足りない」などと口にされると気分がよいものではありません。

 そうした場合も含めて、税理士とのトラブルは基本的に「話し合い」で解決できます。感情的なもつれがなければ、お互いの事情を腹を割ってよく話し合えば、たいていのことは、納得のいく形で収まりがつくのです。

 問題なのは、税務業務の意見の違いです。経営者には経営方針が、税理士には税理士としての仕事のプライドがあるため、話し合いでは解決できない場合があります。

 仮に税理士のほうに問題があれば、経営者はいったん不満を腹のうちに飲み込んでおき、決算が終わってから税理士を替えることをお勧めします。もちろん、決算までに十分な時間があれば、決算期まで待つ必要はありません。

 相続などに関することで意見が分かれた場合なら、その案件だけ、別の税理士に任せても構いません。

 税理士が必要な手続きや税法上の特例などを失念し、依頼人がそのミスにより、本来払わなくてもいい多額の税金を支払ってしまったときなど、明らかに税理士がミスを犯した場合は、話し合いや税理士を替えるといったことだけで済む問題ではありませんので、損害賠償を請求することができます。弁護士に頼んで民事訴訟をしてもいいと思います。

 いずれにせよ、訴訟へと発展するケースはまれですが、このようなことが自分の身に絶対起こらないとは言い切れません。

 ふだんから、すべて税理士に丸投げではなく、小さいことでも、連絡や確認をとるなど、日頃のコミュニケーションがしっかりしていれば、税理士ともめることは避けられるでしょう。