いい税理士の7つのポイント


第5回 社長の痛みを共有してくれるか?

 普通のビジネスならば、取引先の売上が落ちたりすると、自社の売上も落ちるために、取引先とは運命共同体という関係が多いと思います。

 しかし、税理士との関係は少し違うようです。事業規模が拡大しすると、顧問料の値上げを要求することはあっても、業績が下がったからと言って、値下げを持ちかけるということはなかなかないのではないでしょうか。

 お客様と契約関係にありながら、相手の業績に大きく左右されることがないとすると、なかなか経営者と税理士が「痛み」を共有することはできません。

 もちろん、会社の経営の責任をとるのは、その会社の経営陣であるのは当然のことですが、税務と会計のサポートをしている税理士にまったく責任がないとは思えません。

 契約の際には、「月3万円」という曖昧さを残した顧問料契約をするのではなく、記帳代行で1万円、会計顧問報酬で2万円など内訳を確認しておきましょう。

値上げを要求する税理士は悪い税理士?


 「創業時にある税理士と契約し、しばらくして儲かってきたら、値上げをもちかけられた。これは悪い税理士ではないか?」という相談を寄せられる経営者の方がいますが、これは一概には悪いとはいえないケースです。

 それは、多くの税理士が創業時パックというようなものを用意していて、創業時に1円でも経費を節約したいという経営者の気持ちに応えるよう、通常の料金よりも20〜30%安く月額料金を設定している場合があるからです。これは経営者の痛みを共有したいという気持ちの表れでもあります。

 なにがなんでも「値上げを要求されたいので、新しい税理士を探したい」というのはあまり感心できません。

 痛みを共有してくれるかを判断するためには、売上が悪かったときや創業時の苦労話をしてみましょう。そのときの反応でわかると思います。