税理士業界ニュース
(2017年 2月)

第13回新春感謝祭開催レポート
  「会計事務所は成長を止めるな!!」

成長意欲に満ちたさまざまな士業が集結

 アックスコンサルティング主催の新春感謝祭は、今年で13回を迎えた。

 第13回新春感謝祭の午前の部は、毎年恒例の平川忠雄税理士(税理士法人平川会計パートナーズ代表社員)による「速報! 平成29年度税制改正のポイント」。毎年の税制改正をキャッチアップすることは、税理士の必要項目である。「自分が新規獲得のために税制改正セミナーで講演する際に、平川先生の講義を参考にします」と語る参加者がいるよう、税制改正を「ビジネスツール」に高めようと、皆が熱心に講義に耳を傾けていた。職員研修の一環で、税制改正解説セミナーを総勢13人で聴講に来た会計事務所もあった。

 新春感謝祭の目玉のひとつともいえるのは「特別講演」。これまで豪華な講師陣が多数登壇し、事務所経営に役立つ情報を届けてきた。 一昨年の第11回では「会計事所ビジネスに大きな影響を与えるテクノロジーの進化」というテーマで大前研一氏にご登壇いただいた。昨年の第12回では、感動プロデューサーの平野秀典氏が「感謝される会計〜ファンを生み出すドラマ思考のススメ〜」というテーマで講演した。

 第13回の特別講演は、国際ジャーナリストの蟹瀬誠一氏による「混迷の時代を生き抜く、『経営者の生き方、会社の生かし方』」。中小企業の現状を把握し、顧問先に提案するサービスの向上につなげられる講演に、参加者は満足していた。

 第13回の事例発表のテーマは「士業連携」。新規獲得のひとつの手法として挙げられる、他士業との連携だが、実際にスムーズにできている事例は少ない。今回は税理士だけでなく、司法書士や社会保険労務士も登壇し、事例を発表。士業連携を軸にしたビジネス拡大ノウハウを公開した。

 新春感謝祭は第13回を数えるだけあって、税理士からの注目度が高く、「新年の恒例イベントとして出席しています」という声が目立った。

 「士業連携」が事例発表のテーマだったこともあり、税理士、公認会計士だけでなく、司法書士や社会保険労務士の出席も多かった。「これだけ多くの士業が一堂に会するイベントはありません」と、大半の参加者が情報交換に力を込めていた。

 「会計事務所は成長を止めるな!!」のスローガン通り、成長意欲に満ちた参加者が集い、新春感謝祭は盛況のうちに幕を閉じた。

2017年初頭に所長が考えておくべきこと

 この先、多くの仕事が人工知能(AI)に取って代わられると言われている。そして、税理士の業務も、取って代わられる仕事のひとつに挙げられている。確かに「税務申告」をはじめとした「手続き業務」に関しては、人間よりもコンピューターの方が向いているだろう。しかし、税理士の仕事がすべてなくなるということは考えにくい。なぜなら、そこには「コミュニケーション」が介在しているからだ。不安を感じる必要はない。

 所長税理士が不安を感じるのは、先行きが見えないからではないだろうか。2017年の初頭に目標を立てたと思われるが、このような混迷の時代だからこそ、「所長としてどう生きるか」「事務所が生き抜くにあたり、何をすべきか」を考えておくべきだろう。

 蟹瀬氏の特別講演のテーマ「混迷の時代を生き抜く、『経営者の生き方、会社の生かし方』」と同様に、会計事務所所長はいま一度「所長の生き方、事務所の生かし方」というベースに立ち返ってみよう。

所長は事務所経営の時間を捻出しよう

 「所長の生き方」とは、所長として何を考え、何をすべきかを決断することである。先生方は何のために開業したのか、思い返していただきたい。

 「中小企業の経営を全力で支援する」や「地域ナンバー1の税理士になる」といった目標を立てたかもしれない。しかし、実務を行いたいがために独立開業したとしても、税理士事務所を経営する「経営者」という肩書きがつく。所長である以上、経営者としての生き方・考え方を習慣づけておかなければならない。

 経営者になると、マーケティング、営業、労務、採用、評価、教育などといった、税理士試験の内容とは無関係な知識とノウハウを習得しなければならなくなる。

 現実的には、実務が忙しくて、事務所経営について考える時間がないという会計事務所所長が大半かもしれない。しかし、ほんの少しでも立ち止まって、事務所経営の時間を捻出することを心掛けたい。それが「事務所の生かし方」であり、会計事務所が生き延びていくには、どこに活路を見出せばいいのかを考えることこそが、所長の最重要ミッションなのだ。

 今後の会計事務所の活路として適しているのは、コンサルなど、コミュニケーションを用いて顧問先の意思決定をコントロールする役割である。例としては、次のような選択肢が挙げられるだろう。

  • ●業種特化(飲食業・美容業・介護業・医業・建設業・他)
  • ●業務特化(資産税・税務調査・資金調達・他)
  • ●高単価付加価値路線(事業承継・経営計画・各種コンサルティング・経理代行・他)

 いずれも、サービスの軸を絞り、顧客とのコミュニケーションが介在するサービスである。「低単価なサービスを大量に受ける」ということは、勝ち目の薄い価格競争に身を投じるようなものだ。業種特化・業務特化する場合でも、専門性を発揮した高付加価値業務で勝負したいところである。

 大規模税理士法人でない限り、会計事務所はサービスの主軸を絞る必要がある。差別化して何かとがった部分がないと、今の時代、顧客から選ばれる会計事務所になるのは難しいからだ。「事務所の生かし方」として、活路とするサービスについて考えよう。

 「成長したい意識が高い事務所が集う」と多くの参加者が語る新春感謝祭。今後も事務所成長を支援する魅力あるテーマを用意して、皆様のご参加を待ち望んでいる。


【2/23(木)東京】ビッグファームを目指す会(BFN) 第5回定例会