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(2016年8月)

なぜ、「民事信託」が急速に税理士の注目を浴びているのか?

 現在、税理士の間で話題になっているのが「民事信託」。アックスコンサルティングでは7月に民事信託に関するセミナーを複数開催した。セミナーには多くの税理士が参加し、盛況ぶりを見せた。また、4月に発売を開始したDVD教材「民事信託で相続ビジネス拡大パッケージ」が好評を博している。

 なぜ、ここまで民事信託が税理士の関心を集めるのだろうか?

 大きな要因としては、相続問題解決の難易度が上昇しているからだと考えられる。

・「争族」の増加

 遺産分割事件が年々増加傾向にある。そのうち75%が遺産価額5,000万円以下と少額。遺産分割事件の当事者数も約半数が3人以下となっている。これらから「争族」はごく一般的な出来事になっていく。

・相続財産における不動産の割合が高い

 相続財産のうち半分弱を不動産が占める。バブル期と比べると減少傾向にあるものの、依然と高い割合を示す。不動産は分割が難しい財産で、自宅等の不動産以外にめぼしい財産がない場合、遺産分割が困難になる。分割できず、やむなく自宅を複数の相続人が共有してしまうと、その後の相続が一層複雑化する。

・認知症患者の増加

 認知症患者は増加の一途をたどる。認知症になってしまうと、意思表示ができず、相続対策が望めなくなってしまう。

 もうひとつの要因は、民事信託の知識・ノウハウを究め、相続ビジネスを拡大した事例が出てきていることも挙げられる。従来の相続ビジネスでは想定できなかった報酬の獲得方法や、民事信託実務に関するさまざまなコンテンツが公開されていることから、民事信託導入を検討し出した税理士がここへきて増加したと考えられるだろう。 

 難易度が高まった相続問題は、従来の方法で解決するのには限界がある。そこで、新たな解決手段として民事信託が注目を集めている。

 これからは、相続ビジネスを実践するにあたって、民事信託ノウハウの習得が必須という時代が来る可能性がある。今から民事信託を始めれば、相続ビジネス拡大と報酬アップにつなげることができるだろう。


なぜ、「民事信託」が急速に税理士の注目を浴びているのか?