(2016年5月)
美容・飲食特化で「キラーコンテンツ」をつくる目的は?競合激化、クラウド会計の進行等を受け、収益力の強化が会計事務所にとって急務となっている。それには「業種特化+製販分離」で、普通の人材で業務を回し、所長が実務にタッチしなくても収益を上げられるビジネスモデルを築く必要がある。美容・飲食業に特化し、製販分離のビジネスモデルを確立。「職員1人当たり売上2,000万円」「業界平均165%の生産性」を実現している阿比留一裕氏の事例を、前号に続いて分析する。 美容・飲食業に特化した記帳代行と税務顧問業務の場合、通常のサービスならば差別化が難しい。どのようなアウトプットならば満足度が高まるかを阿比留氏は追求。「どうしてうちの事務所を選んでくれるのか」の理由になる良質なアウトプットが必要と考え、キラーコンテンツとして編み出したのが「財務分析報告書」だった。 この財務分析報告書とは、美容・飲食業の経営者が把握すべき数字だけに内容を絞っている。それは次の5項目から成る。
さらに、これら5項目について、阿比留氏はグラフを用いてビジュアル的にアウトプット。美容・飲食業の経営者に数字を把握してもらうよう、工夫を凝らしている。 なかでも特徴的なのは「2.その実績は周りの店と比べてどうか」の比較評価だ。「大名・天神・今泉で、黒字経営の美容室平均値」というように、ピンポイントでの指標が出せるのは、福岡市内で美容・飲食業に特化している阿比留氏だけがなせる業。高い価値を創出している。 これらをまとめた全11ページにわたる財務分析報告書を毎月、全顧問先にメールで送付している。 「差別化」「満足度向上」「業務効率化」が目的阿比留氏は、何のためにキラーコンテンツをつくるのか、ビジネスモデルのなかにどのように位置づけているのかを明確にしている。
顧客の業種をセグメントすることで、そのお客様に何をすればいいかがわかり、キラーコンテンツが決まる。記帳代行と税務申告で差別化を図る際にはキラーコンテンツが不可欠なことを阿比留氏は強調する。 |