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(2013年4月)

顧問先からの育児休業に関する質問に答えられますか?

女性の雇用で会社が知っておくべき法律ルールとは?

 女性の社会進出が進み、男女平等の意識が以前とは比べ物にならないほど強くなっています。しかし、職場においては未だに男性中心の労務管理手法が中心で、女性社員が妊娠した、出産・育児をするといった場面に出くわしたとき、どう対応していいのかわからず、慌ててしまう企業は少なくありません。今回は社会保険労務士の坂本旭子氏が女性の育児休業に関するQ&Aについて解説します。


育児休業からの職場復帰で短時間勤務を希望されたら?

Q1:育児休業中の社員が、子が1歳になるため職場復帰することになりました。子どもが小さいうちは短時間勤務をしたいとのことですが、当社としては人員不足でこのような申出は正直困ってしまいます。必ず申出どおりに対応しなければいけないのでしょうか?

:法律上は、子が3歳に達するまでは1日原則6時間の短時間勤務制度の導入を義務付けています。たとえば、1日の所定労働時間が8時間の場合には、6時間までの短時間勤務を認めなければいけません。

 また、所定時間外労働についても、従業員の請求があれば子が3歳に達するまでは基本的に残業をさせることはできません。

 平成22年6月30日に施行された改正育児介護休業法では、3歳未満の子を養育する労働者について短時間勤務制度の導入が義務付けられました。この制度により、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する短時間勤務を認める必要があります。

 また、時間外労働についても、3歳未満の子を養育する労働者が請求した場合には、事業の正常な運営を妨げる場合を除いて、所定労働時間を超えて労働させてはならないとされました。

 なお、所定外労働については小学校に上がる前までは1ヵ月について24時間、1年について150時間を超える時間外労働をしない旨の請求も可能です。


子どもの病気で有給休暇を使い果たしてしまった場合

Q2:育児休業から職場復帰してからというもの、子どもの病気や予防接種などで会社を休みがちの社員がおり、有給休暇を使い果たしてしまったようです。今後、子どもが病気になった場合にはどのように対応すればよいのでしょうか?

:子どもが小学校に上がるまでは、1年度につき5日(子どもが2人以上いる場合は10日)を限度として、有給休暇とは別に、子の看護休暇を与えなければいけません。ただし、この休暇については無給とすることは可能です。

 また、このほかにも1歳未満の子どもを育てる女性は、1日2回、それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することもできます。

 育児介護休業法第16条の2では、子どもが小学校に上がるまでは、1年度について5日(子どもが2人以上いる場合は10日)を限度として、子の看護休暇を取得することができるとされています。ただし、必ずしも有給とする必要はありません。

 子の看護休暇の使い道は、子どもが病気やけがをした場合に、その看護をするためや、子どもに予防接種や健康診断を受けさせるためにも取得できます。


女性の雇用で会社が知っておくべき法律ルール