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(2013年1月)

消費税増税で備えておくべきポイントとは?

 「消費税が上がったらどうなるの?」。消費税増税を前に、顧問先からいろいろ質問を受ける機会が多いと思われます。そのときに的確なシミュレーションができれば、顧客満足度は上がります。消費税増税を前に、顧問先に何を伝え、どんな対策を取ればいいのか。今回は吉村和浩税理士が、消費税増税に向けた経過措置について解説します。


請負工事の経過措置はどうなる?

 消費税は平成26年4月1日から5%から8%に改正されます。そして、平成27年10月1日には10%に引き上げられます。平成9年に消費税が3%から現在の5%に引き上げられたときと同様に、会計事務所内でも処理が煩雑になると思われます。

 今回は消費税法の改正が続き、税率が二段階の引き上げであるため、シミュレーションが重要になってきます。


平成25年9月30日までの契約ならば5%の税率を適用

 消費税の経過措置でポイントになるもののひとつに、請負工事があります。それは、以下のようになっています。

 事業者が平成25年10月1日(以下「指定日」という)の前日までの間に締結した工事の請負に係る契約に基づき、平成26年4月1日以後に引き渡しを行う場合には、当該工事に係る消費税については、5%の税率を適用する。

 以上のように、指定日というのが消費税改正の6ヵ月前に設けられています。税率が変わるのが平成26年4月1日ですが、指定日以前に契約しているものは5%を適用できるというお話です。

 複雑なのは、平成27年10月1日に消費税が10%に引き上げられるときです。このときの指定日は6ヵ月前の平成27年4月1日になります。この前日までの間に契約締結し、平成27年10月1日以後に引き渡しを行う場合には、8%の消費税が適用されます。

 もし、5%の税率を適用したいのであれば、平成25年9月30日までに契約を締結することが重要になります。


請負工事に類する契約についての経過措置

 また、請負工事に類する政令で定める契約についても、請負工事等と同様の経過措置が設けられています。平成9年の改正では、以下の契約が対象となっていたので、参考にしてください。

1) その他の請負に係る契約…例えば、修繕や運送、保管、印刷、広告、仲介、技術援助、情報の提供に係る契約等

2) 委任その他の請負に類する契約…例えば、検査、検定等の事務処理の委託に関する契約、市場調査その他の調査に係る契約等

3) 仕事の完成に長期間を要するもの…上記の@Aのような契約においては、仕事の完成に長期間を要することが通例であるがゆえの規定だが、実際に長期間を要するかは問わないとされた

4) 仕事の目的物の引き渡しが一括して行われるもの…運送、設計、測量など、目的物の引き渡しを要しない請負等の契約では、契約した役務の全部の完了が一括して行われるものも含まれる

5) 相手方の注文が付されているもの…目的物の仕様や規格に相手方の指示があるもの。例えば、船舶、車両、機械、家具等の製作、洋服等の仕立て、広告宣伝用資産の製作、建物・機会の修繕など修理や加工等を目的とする請負契約