会計事務所経営に役立つ情報
(2012年6月)

「M&A=引退」ではない!

M&Aが急増している3つの要因

 ここ2、3年でM&Aを検討したい」という相談が急増しました。主に以下の3つの要因が考えられます。

1.会計業界の変化
2.税理士の高齢化
3.M&Aに対する考え方の変化

 会計業界の競争環境は大きく変化。大型事務所化、ネットワーク化が進行し、Webを中心としたマーケティング活動をしなければ生き残れない時代へと突入しました。かつてのように看板だけ掲げていれば、自然とお客様が増えていった時代ではありません。戦略的な新規拡大が不可欠になったのです。

 よって、この目まぐるしい変化についていくのに限界を感じる税理士が増えています。

 また、ご存知の通り、税理士のうち60歳以上の割合は過半数を占めています。「まだまだ業務を続けたい」と思っていても、体力の低下や最新税制についていけないという理由から、M&Aについて相談する税理士が増えているのです。

 会計事務所のM&Aというと、どんな印象を受けますか。「お客様を売るなんて」と顔をしかめる人も今なお少なくないでしょう。しかし、そのような意識はもはや15年ほど昔の話。今ではM&Aに対して「事業承継をしてお客様と職員を守る」という意識を持つ人が増えています。


仕事を生涯続けるためにM&Aは不可欠

 会計事務所M&A支援協会に相談をしてくる税理士の中にはM&Aをすると引退しなければいけない」「今までやってきた仕事がなくなってしまう」と思い込んでしまっている方が少なくありません。

 もちろん、業務から離れるためにM&Aを決断する方もいらっしゃいますが、最近は「仕事を生涯続けていくため」にM&Aを検討する方が増えているのです。

 税理士の仕事を生涯続けていくにも「後継者がいない」「自分の健康状態が心配」というように、不安を抱えた状態でいるよりは、M&Aによってサポート役がしっかりと存在し「自分に万一のことがあっても大丈夫」と安定した状態のほうが、思う存分仕事に打ち込めます。この差は大きいでしょう。


売り手市場から買いて市場へ 早めの相談が良い結果をもたらす

 これまで会計事務所のM&Aは売り手市場で、売る側が有利な条件で進めることができました。

 しかし、これからは買い手市場に転じます。その理由は「60歳以上の税理士が過半数を占める」「売上を落としている事務所が多い」「事業承継のニーズがある事務所が増加」などが考えられます。よって、今後は売り手と買い手のパワーバランスが逆転。小規模事務所ほど売却しづらくなるでしょう。

 M&Aのタイミングは早ければ早いほど良い結果をもたらします。何か起きてからでは、後継者探しや職員と顧問先の引き継ぎをあわてて行わなければならなくなり、満足いく結果が得られません。そして、時期をいたずらに延ばすと売上は落ちていく一方。条件が厳しくなり、どの事務所も買ってくれないという最悪の事態にもなりかねません。

 会計事務所のM&Aは、早目の相談が功を奏します。相談が早ければ早いほど選択肢が多く、好条件の相手先が見つけられる。その結果としてお客様と顧問先にも安心してもらえます。


会計事務所M&A支援協会