(2012年6月)
「契約を断った理由」を聞く機会はない 「契約できる税理士」と「契約できない税理士」の分水嶺はどこにあるのか。 どの税理士も、各顧問先と顧問契約が成立した瞬間がある。そこで「どうして契約できたのか」「どうして契約できなかったのか」を考えたことはあるだろうか。 「どうして契約できたのか」は、実際に顧問先となった経営者から聞き出すことができる。しかし「どうして契約できなかったのか」を相手に質問することは難しい。仮に聞けたとしても、本当の理由を話すケースは少ないだろう。 当社の顧問先紹介サービス「ビジネスマッチング」では、顧問先紹介案件の成約・不成約にかかわらず、その理由をうかがっている。すると、税理士が契約できなかった理由を率直に聞き出すことができる。 ここ最近、経営者からビジネスマッチングに寄せられた「事務所経営の最大課題は「契約力」 断った理由」の一部を以下に紹介する。 ●廃業をすすめられた ●身内がなくなり、面談のアポをキャンセルしたら、留守電に文句が吹き込まれていた ●修正申告をお願いしたら、嫌な顔をされた ●「業種には詳しくない」とはっきり言われた ●法人化の相談をしたら「やめるべきだ」と言われた ●すごく忙しそうで、今後付き合っていく際にきちんと対応してくれるのか不安だった ●上から目線の発言をされた ●資料を預けたが、数ヵ月返答がなかった ●料金の話ばかりされた ●会社設立の金額が高かった ●現在の顧問税理士との兼ね合いがあるにもかかわらず、契約をせかされた ●面談後、税理士から「連絡します」と言われたが、全然来ない 一方「契約を決めた理由」の一部も以下に紹介する。 ●自社の業界に詳しく、的確なアドバイスをしてくれた ●共通の話題(趣味や知り合い、地元の話)があり、話しやすかった ●やる気があった ●親身になって話を聞いてくれた ●面談時の気遣いがよかった ●他士業との人脈が多かった ●「いつでも連絡してください」と言ってくれた ●今の税理士へ断りの文章を一緒に考える約束をしてくれた 以上から考えると、契約が決まる理由と断られる理由には、それぞれ特別なものがない。どの税理士も、契約を断られる言動と契約が決まる言動のどちらも取ったことがあるだろう。それゆえ、契約できるためのほんの少しの工夫があれば、契約力を高めることができるのだ。 「契約できる税理士」と「契約できない税理士」の差は? また「契約できない税理士」「契約できる税理士」の特徴の一部を以下に挙げる。 〔契約できない税理士〕 ●「競合はいない」認識でいる ●清潔感がない ●金額の提示をその場でせず、「見積書を後日送る」と伝えてしまう ●電話応対がよくない ●専門用語を多用し、分かりやすく話すことができない ●面談相手の業種に詳しくない ●質問に的確に答えられない 〔契約できる税理士〕 ●お客様をほめる ●事務所がきれい ●契約書をその場で書いてもらう ●決算書や資料を預かってくる ●面談日程調整が早い ●連絡等のレスポンスが早い ●料金をすぐに伝えられる |