(2012年3月)
ここ20年で「中小企業は2割減」、「税理士登録者数は1.5倍」 「中小企業が減少傾向にある」ということは、現場にいる税理士なら肌で感じていると思われる。ただ、どの業種がどのくらい減っているのかまで把握している税理士は多くないだろう。 下のグラフ1は1986年から2006年までの20年間で、中小企業の数がどのくらい推移したかを業種別で示している。大幅に減少しているのは、製造業、小売業、卸売業といった昔ながらのビジネス。製造業と小売業は大手企業への寡占化、卸売業は流通の中抜きがそれぞれ大きく影響していると思われる。 1986年から2006年の間で、中小企業の非一次産業全体では21.4%減少。現在はさらに減っているものと思われる。 一方、税理士数はどうか。グラフ2にあるように、税理士登録者数は1985年には47,342人だったのが、2010年には72,039人。実に約1.5倍まで増加しているのである。 弁護士、公認会計士、弁理士等の他士業の数もここ20年来増加の一途をたどる。総数は税理士に及ばないが、1985年から2010年までの間で公認会計士は3.3倍、弁護士は2.3倍、弁理士は3.0倍まで急増。さらに税理士のビジネステリトリーに参入している。税理士はまさに「職域防衛」という言葉を改めて意識せざるを得ない状況に立たされている。 グラフ3は税理士一人当たりの中小企業数を示している。1986年には113件だったのが、2006年には61件と、実に50数%まで落ち込んでいる。この数字だけでも、税理士の競合が激化していることが簡単に読み取れる。 税理士は、これらの統計が示す事実から目を背けてはいけない。 |