会計事務所経営に役立つ情報
(2012年2月)

低価格路線にシフトするには根本的な改革が必要
−2011年の会計業界で何が起きたのか?−

 「流行は若者によってつくられる」というが、競合が激化するなか、身内からの価格破壊者として、低価格路線を掲げて次々と顧客を獲得する若手税理士が「時代の寵児」として話題になった。彼らは低価格でも収益を上げられる仕組みと組織をつくり上げたのである。

 一方で組織や体制をつくらないまま、価格破壊者と同様に低価格路線を追いかけていったベテラン会計事務所も存在する。こうした事務所は、事務所の体制、風土、職員教育、給与体系から考えると、当然低価格の組織体ではなく、無理やり価格だけ下げて、利益率を落とし、苦しい戦いを強いられている。昔ながらの税理士先生が小手先だけ変えても、低価格路線はうまくいかない。

 政治の話になって恐縮だが、民主党は当初のマニフェストがほとんど守られていない。それは表面的な部分だけしか見直していないからだ。会計事務所も同様に、組織構造や文化、教育体制など根本的な部分から変えていかないと、利益の出る組織体は生まれない。小手先だけでは寡占化への道を突き進んでしまう。

 その次に起こるであろうことが、オールドエコノミーの寡占化。これは多くの業界で繰り返されてきた新旧交代の歴史である。全国の都市で見られる商店街のシャッター通り化は、多くの業種で小売店がオールドエコノミーとして市場からレッドカードをたたきつけられた証でもある。

 商店街にあった魚屋や八百屋、肉屋、洋品店、喫茶店、薬局等の各商店がそうだったように、時代の流れに取り残された会計事務所も、同様にオールドエコノミーとして寡占化の波にのまれてしまうのである。

 そうならないためにも、2012年はいくつかの決断をしなくてはならない。