裁判所では事件を受け付けると、事件記録の表紙に、年度・符号・番号を表記している。この方法は明治23年から行われ、事件の種類や符号に変動はあるものの、今日まで行われている。このうち、番号は、事件の種類ごとに毎年1号から始まり連番になっている。 ところで、その事件番号の符号であるが、租税訴訟には、「行コ」「行ツ」「オ」というような記号が多く登場する。 例えば、「最高裁平成4年10月29日第一小法廷判決(平成3年(行ツ)第171号更正処分等取消請求上告事件)」というように表記されることが多い。 この事件は、平成3年に受付けをした「行ツ」という種類の171番目の事件という意味である。そこで、この「行ツ」のように「行」が付くものは行政事件であることを意味している。 「行ツ」は最高裁判所の上告事件、「行ウ」は地方裁判所の訴訟事件、「行コ」は高等裁判所の控訴事件である。 「ワ」「ネ」「オ」のようなカタカナ表記はいずれも民事事件であり、「ワ」は地方裁判所の通常訴訟事件、「ネ」は高等裁判所の控訴事件、「オ」は最高裁判所の上告事件である。 他方、ひらがなの符号は刑事事件を表し、例えば、「う」「あ」は、それぞれ高等裁判所の控訴事件、最高裁判所の上告事件を表しているのである。 (出所:酒井克彦・税のしるべ2993号4頁) |