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条文の「項」と「条」、「号」
(2013/08/19)

 条文を見ていると、第1条や第1号には必ず「1」あるいは「一」が記載されているのに、第1項だけは記載がないことに気がつく。これは何故であろうか。

 また、「条」や「号」には枝番号がつくことがある。例えば、「第3条の2」というようにである。しかし、「項」には枝番号が存在しない。

 項番号とは、ある項が何番目の項であるかということを見分けやすくするために便宜的につけられる符牒にしかすぎないのである。

 これは、第3条、第5号というようにその条名や号名を表すという固有名詞的なものとは異なる。

 したがって、一番目の項は当然に見分けられるため、見分けのための符牒としての第1項は必要ないというわけだ。

 「条」や「号」はその内容と番号が付着しているので、前の「条」や「号」に加除があっても、単純に番号をずらせばよいというわけにはいかず、枝番を付することで条ずれや号ずれを回避することになる。

 これに対して、「項」は単純に頭から付された番号にすぎないので、枝番の必要がない。

 そもそも、「項」とは単なる文章の区切りにすぎず(林修三『法令用語の常識』154頁)、頭と背の間の区切りである「うなじ」を意味するということであろうか。

(出所:酒井克彦・税のしるべ2970号4頁)