中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)
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 II.各論

 6.棚卸資産
(1) 棚卸資産は、原則として、取得原価で計上する。
(2) 棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法による。
(3) 棚卸資産の評価方法は、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等による。
(4) 時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上する。


【解説】

 商品、製品、半製品、仕掛品、原材料等の棚卸資産は、購入金額に付随費用を加えた購入時の金額(取得価額)に基づき、また、製造業の場合は、製品製造のために使用した材料費、労務費及び製造経費を積算し、取得原価を計算します。また、(3)にあるように、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法等により期末の金額(取得原価)を計算します。

 (1)にあるように、棚卸資産は、原則として、取得原価で計上します。(2)では、棚卸資産の評価基準は、原価法又は低価法によるとされていますが、原価法とは、取得原価により期末棚卸資産を評価する方法で、低価法とは、期末における時価が取得原価よりも下落した場合に、時価によって評価する方法です。

 原価法により評価した場合であっても、時価が取得原価よりも著しく下落したときは、回復の見込みがあるかないかを判断します。ここで、(4)にあるように、回復の見込みがあると判断した場合を除き、評価損を計上することが必要となります。

 棚卸資産の時価は、商品、製品等については、個々の商品等ごとの売価か最近の仕入金額により把握することが考えられます。

 時価を把握することが難しい場合には、時価が取得原価よりも著しく下落しているかどうかの判断が困難になると考えられますが、例えば、棚卸資産が著しく陳腐化したときや、災害により著しく損傷したとき、あるいは、賞味期限切れや雨ざらし等でほとんど価値がないと判断できるものについては、評価損の計上が必要と考えられます。


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