7.特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入 |
第37回 7−11 複数の会社の業務主宰役員を兼ねている場合 |
掲載日:08/10/28
複数の会社で業務主宰役員となっている場合、それぞれの会社ごとに損金不算入額を計算すると、実際にその業務主宰役員が受け取っている給与に係る給与所得控除額を超えることになります。このような弊害に配慮して、合算により損金不算入額の計算ができるよう、つぎのような特例が設けられています(法人税法施行令72条の2第2〜4項)。
1)損金不算入額の計算
〔具体的計算例〕
(例題:A社とB社で業務主宰役員を兼務する甲のケース)
A社の甲に対する業務主宰役員給与額 1,800万円
B社の甲に対する業務主宰役員給与額 1,200万円
【損金不算入額の計算】 |
(1) |
合算による計算
1,800万円 +1,200万円 =3,000万円・・・速算表に当てはめる金額
220万円+(3,000万円−1,000万円)×5% =320万円
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(2) |
各社の損金不算入額
A社 :320万円×1,800万円/3,000万円 =192万円
B社 :320万円×1,200万円/3,000万円 =128万円 |
以上のとおり、自社と他社の業務主宰役員給与額を合算して損金不算入額の計算を行い、これを自社と他社の業務主宰役員給与額の比率で按分計算することで、各社の損金不算入額を計算するものです。
ちなみに、各社別々に損金不算入額を計算した場合には、A社が260万円、B社が230万円で、合計490万円となるため、特例計算が有利となることは明らかです。
2)合算対象となる給与
複数の会社の事業年度が異なる場合、自社の事業年度に相当する期間において他社で支給した業務主宰役員給与額が合算する対象となります(法人税法施行令72条の2第2項)。また、他社が複数の特殊支配同族会社に該当するかどうかの判定は、損金不算入額を計算しようとする特殊支配同族会社の事業年度終了の時の現況によって行うこととされています(法人税法施行令72条の2第3項)。
3)適用要件
この特例計算を選択するには、その事業年度の確定申告書の提出期限までに、合算対象給与額その他の事項について記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出する必要があります(法人税法施行令72条の2第4項)。
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