7.特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入
 第33回 7−7 基準所得金額の計算
掲載日:08/09/30

1)基準所得金額

 基準所得金額とは、簡単には「基準期間における業務主宰役員給与支給前の所得金額の年平均額」のことであり、具体的には、つぎのように計算されます(法人税法施行令72条の2第5項)。

〔基準所得金額の計算〕
 基準期間に含まれる各事業年度(基準期間内事業年度等という)におけるつぎの(a)の金額から(b)と(c)の金額を控除した金額を、基準期間内事業年度等の月数(1ヶ月未満の端数は1ヶ月とする)の合計数で除し、これに12を乗じて計算した金額。

(a) 調整所得金額
の合計額
[1] 所得金額が生じた事業年度の場合
所得金額+業務主宰役員給与額+青色欠損金当期控除額
[2] 欠損金額が生じた事業年度の場合
業務主宰役員給与額−欠損金額(マイナスの場合は0)
(b)調整欠損金額 欠損金額−業務主宰役員給与額
※上記(a)[2]の金額がマイナスの場合、調整欠損金額となる。
(c) 調整繰越欠損
金額(過年度欠
損金額の調整額)
基準期間前の事業年度におけるつぎの[1]の金額から[2]の金額を控除(最も古い事業年度から順次控除)した残額
[1] つぎの区分に応じ、それぞれの金額
  ア. 非特殊支配同族会社最後事業年度等後の事業年度(※1)において生じた調整欠損金額を、その発生事業年度終了の日の翌日前3年以内に開始した事業年度(通常は前2年間の事業年度)のうち最も古い事業年度の調整所得金額から順次控除し、控除しきれなかった金額
  イ. 非特殊支配同族会社最後事業年度等以前の事業年度において生じた欠損金額(欠損金の繰戻しによる還付(法人税法80条)の適用を受けた金額を除く)
[2] [1]の事業年度開始の日後7年以内(※2)に開始した各事業年度の調整所得金額
  ※1 平成15年4月1日前に開始した事業年度は、すべて非特殊支配同族会社とみなされる(改正令附則16条6項)。
  ※2 平成13年4月1日前に開始した事業年度における欠損金額については、「7年」を「5年」とする(改正令附則16条7項)。
※業務主宰役員給与額には、この規定(法人税法35条)による損金不算入額は含まれません。


〔基準所得金額のイメージ(過年度欠損金額の調整額がない場合)〕
基準所得金額のイメージ(過年度欠損金額の調整額がない場合)


2)基準期間がない場合

 基準期間のない特殊支配同族会社については、当年度の所得金額を基礎として計算した「当年度基準所得金額」により判定することになります(法人税法施行令72条の2第9項)。

 例えば、新設法人の第1期事業年度などは、この計算によることになります。

〔当年度基準所得金額の計算〕
当年度基準所得金額
[ その事業年度の所得金額または欠損金額(※1) + 業務主宰役員給与額 ]
×12/その事業年度の月数(※2)

※1 つぎの規定を適用しないで計算した金額
 [1] 法人税額から控除する外国子会社の外国税額の益金算入
 [2] 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入
 [3] 寄附金の損金不算入
 [4] 法人税額から控除する所得税額の損金不算入
 [5] 法人税額から控除する外国税額の損金不算入
 [6] 合併および分割による資産等の時価による譲渡
 [7] 新鉱床探鉱費または海外新鉱床探鉱費の特別控除
 [8] 沖縄の認定法人の所得の特別控除
 [9] 法人税額から控除する特定外国子会社等の外国税額の益金算入
[10] 法人税額から控除する特定外国法人の外国税額の益金算入
[11] 組合事業等による損失がある場合の課税の特例
※2 1ヶ月未満の端数は1ヶ月とする(法令72条の2第10項)

 なお、当年度基準所得金額の計算にあたって、青色欠損金額を有する場合には、その青色欠損金額の全額を損金の額に算入するものとして計算することとされているので、所得金額に欠損金の繰越控除額を加算する必要はありません(法人税法施行規則22条の4第3項)。


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