4.定期同額給与
 第18回 4−7 毎月おおむね一定の経済的利益
掲載日:08/06/17

 役員に対する給与には、債務の免除による利益その他の経済的な利益も含まれます(法人税法34条4項)。

 役員に対して継続的に供与される経済的な利益のうち、その供与される利益の額が毎月おおむね一定であるものは、定期同額給与に該当することとされています(法人税法施行令69条1項2号)。具体的な例として以下のようなものがあります(法人税法基本通達9−2−11)。

 [1] 役員に対して贈与する物品その他の資産の価額で、その額が毎月おおむね一定のもの
 [2] 役員に対して所有資産を低い価額で譲渡した場合におけるその資産の価額と譲渡価額との差額に相当する金額で、その額が毎月おおむね一定のもの
 [3] 役員に対する無償または著しく低い対価での用役の提供で、通常の対価と実際 の対価との差額に相当する金額で、その額が毎月おおむね一定のもの
 [4] 役員に対する居住用土地または建物の無償または低い価額での提供で、通常収受すべき賃貸料と実際の賃貸料との差額に相当する金額(その額が毎月著しく変動するものを除く)
 [5] 役員に対しる無償または通常利率よりも低い利率による金銭の貸付で、通常利率による利息の額と実際の利息の額との差額に相当する金額(その額が毎月著しく変動するものを除く)
 [6] 毎月定額により支給される渡切交際費
 [7] 毎月負担する役員の住宅の光熱費、家事使用人給料等(その額が毎月著しく変動するものを除く)
 [8] 法人が負担する、役員が会員となっている社交団体の経常会費その他運営のための費用で、経常的に負担するもの
 [9] 法人が負担する、役員を被保険者および保険金受取人とする生命保険契約の保険料で、経常的に負担するもの

 なお、「その供与される利益の額がおおむね一定」であるかどうかは、法人が負担した費用の支出時期によるのではなく、その役員が現に受ける経済的利益が毎月同額であるかどうかにより判定することになります。したがって、必ずしも毎月支出するものでなくても、経済的利益が毎月おおむね一定であると認められるものは、定期同額給与に該当することになります。


 たとえば、生命保険料を負担することによる経済的利益がある場合で、保険料を年払契約で支払っているような場合には、支出は毎月一定ではありませんが、毎月受ける経済的利益(月額保険料)は一定であるため、要件に合致するものとなります。

 このほか、具体的な例として、金銭の貸付の場合、元本の返済状況に応じて、利息は減少していくため、経済的利益が一定になるとは限りません。このような場合でも、その利益の額が毎月著しく変動するものでなければ、「おおむね一定のもの」に該当することになります。

 なお、役員に対して経済的利益を供与した場合において、それが所得税法上、経済的利益として課税されないものであり、かつ、法人がその役員に対する給与として経理していないときは、そもそも給与として取り扱わないことになっています(法人税法基本通達9−2−10)。


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