4.定期同額給与
 第17回 4−6 業績悪化改定事由による定期同額給与
掲載日:08/06/10

1)業績悪化改定事由による改定(法人税法施行令69条1項1号ハ)

 定期給与で、法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由(業績悪化改訂事由)により改定(減額改定に限る)されたもの

 この規定は、経営状況が著しく悪化したこと等により、やむを得ず役員給与を減額せざるを得ない状況を想定しています。なお、経営の悪化については「著しく」という要件が付されており、通達において以下のように定められています。

(経営の状況の著しい悪化に類する理由)
9−2−13 「経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうのであるから、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標に達しなかったことなどはこれに含まれないことに留意する。

 この規定は減額改定に限定したものですが、減額改定の場合であっても、利益調整等の恣意性が介入する可能性を排除するために、「著しく」「やむを得ず」という表現からも経営悪化の程度にも相当な要件を付しています。つまり、安易な減額を認めるとした場合、例えば役員給与を高めに設定しておくことで、事業年度後半において減額改定して利益調整等が可能になることも有り得るということです。


 業績悪化改定事由に該当しない例示として「一時的な資金繰りの都合」や「単に業績目標に達しなかったこと」などが挙げられていますが、該当するかどうかは、その実態に応じて判断することになり、具体的な基準が明確とされていないために、その判断は非常に難しく、慎重に行う必要があります。

 通達の例示から考えて、業績悪化改定事由に該当するかどうかは厳格に判断すべきと考えられますが、損金算入を認める役員給与の考え方として「恣意性の排除」というものが根本にあると考えれば、利益調整等の恣意性が介入する余地のない相当な理由であるならば、「これに類する理由」として許容されるべきと思います。


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