3.役員給与の税務上の取扱い
 第11回 3−3 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の創設
掲載日:08/04/28

 平成18年度の税制改正では、役員給与に関して、もうひとつ大きな改正がありました。特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入制度の創設です(法人税法35条)。

 会社法の施行により、株式会社の資本金規制がなくなり、役員1人による運営も可能となったことから、容易に株式会社をつくれるようになりました。一方で、従来から個人事業主が「法人成り」することで節税を図るといった手法があり、制度改正により今後さらに「法人成り」が増加することが予想され、個人形態と法人形態との課税上の不公平がさらに拡大するという指懸念のもとに創設されたものと考えられます。

 すなわち、法人からオーナーに給与を支給することで、法人においては給与が損金算入され、一方、給与を受け取るオーナーにおいても、所得税の課税段階において給与の概算経費として認められた給与所得控除額が控除されるという経費の二重控除の問題を排除しようとするものです。


 具体的には、オーナー(業務主宰役員)およびその同族関係者が株式等の90%以上を所有する特殊支配同族会社について、オーナーへの役員給与のうち、給与所得控除額相当部分を法人において損金不算入とする制度です。

 この制度は、規制緩和した会社法の理念に反するものであるとか、給与所得控除制度の経費性を否定したものであるとか、さまざまな批判が出ており、廃止を訴える声が後を絶ちません。導入の影響があまりにも大きいとの判断もあり、創設後わずか1年後に適用除外要件が緩和された経緯があります。

 ※この改正は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。


前へメニューへ次へ
Copyright 2001-2008 Kaneko Accounting Office All rights reserved.
Copyright 著作権マーク SEIKO EPSON CORPORATION 2008, All rights reserved.