1.法人税法上の役員
 第4回 1−4 みなし役員判定における「経営に従事」の判断
掲載日:08/03/11

 同族会社の主要株主たる使用人であっても、「経営に従事」していなければ、みなし役員には該当しません。つまり、みなし役員の認定には「経営に従事している」ということが絶対要件であり、「経営に従事していない」ことをどのように立証するかが重要となります。
 税務上「経営に従事している」かどうかの判断について明確な規定はなく、事実認定の問題となりますが、法人の事業運営上の重要事項の意志決定に参画しているかどうかにより判断すべきとされています。

 具体的には、売上価額や仕入価額の決定、主要な取引先の選定、重要な契約に関する決定、資金調達や返済、使用人の採用及び退職の決定など、法人の重要な職務に従事している等、経営の枢機に参画している場合をいい、単に事務処理のうえで重要な職務に従事しているというだけで「経営に従事している」と判断されるものではありません。
 勤務時間の長短、出社の有無や頻度などは、経営従事判定の重要な要素とはならず、あくまでも会社経営における重要事項の意思決定への参画の有無が重要なポイントとなります。
 また、給与の多寡は、経営従事の判定要素のひとつにはなり得ますが、これだけを取り上げて(つまり、給与が高額であることだけをもって)、経営に従事していると判断されるべきものではありません。

 参考までに、代表者の病気療養中に、使用人である息子が代表者に代わって、その業務を行い、代表者の給与を減額、息子の給与を増額させたケースにおいて、「息子が代表者に代わって業務を行うことは通常有り得ることで、個々の重要な決定業務は代表者の意思、指示に基づいて行われていた事実をもって、その息子は役員に該当しない」とした判決例があります。


前へメニューへ次へ
Copyright 2001-2008 Kaneko Accounting Office All rights reserved.
Copyright 著作権マーク SEIKO EPSON CORPORATION 2008, All rights reserved.