1.法人税法上の役員
 第3回 1−3 法人税法における「みなし役員」
掲載日:08/03/03

 つぎのいずれかに該当する者は、税法上の「みなし役員」となります(法人税法施行令7条)。


1)使用人以外の者で経営に従事している者

 法人の使用人(職制上使用人としての地位のみを有する者に限ります)以外の者で、その法人の経営に従事しているものをいいます。具体的には、相談役、顧問その他これらに類する者でその法人内における地位、その行う職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められるものが該当します(法人税法基本通達9−2−1)。

 また、「職制上使用人としての地位」とは、部長、課長、支店長、工場長、営業所長、主任等の法人の機構上定められている使用人たる地位をいい(法人税法基本通達9−2−5)、これらの地位のみを有する者は除かれますので、例えば、支店長等でその職務だけに従事する使用人はみなし役員になることはありません(ただし同族会社の使用人でみなし役員となる者を除く)。


2)同族会社の使用人のうち特定の者

 同族会社の使用人のうち、つぎのすべての要件を満たす者で、その法人の経営に従事しているものが該当します。

(1)  その会社の株主グループにつき、その所有割合が大きいものから順に並べ、 上位3位グループの所有割合を算定した場合に、その使用人がつぎの[1]から[3]のいずれかのグループに属していること
   [1] 第1順位の株主グループの所有割合が50%超である場合の、その株主グループ
   [2] 第1順位と第2順位の株主グループの所有割合を合計した場合に、その所有割合が50%超となるときにおけるこれらの株主グループ
   [3] 第1順位から第3順位までの株主グループの所有割合を合計した場合に、その所有割合が50%超となるときにおけるこれらの株主グループ
(2)  その使用人の属する株主グループの所有割合が10%を超えていること。
(3)  その使用人(その配偶者ならびにこれらの者の所有割合が50%超である他の会社を含む)の所有割合が5%を超えていること。

 上記の判定をフローチャート化すると、次のようになります。


 なお、ここでいう株主グループとは、その株主等およびその株主等の以下に掲げる同族関係者(法人税法施行令4条1項)ならびに、これらの者によって直接・間接に支配される会社をいいます。

(1) 株主等の親族(6親等内の血族、配偶者および3親等内の姻族)
(2) 株主等と婚姻届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者
(3) 株主等(個人に限る)の使用人
(4) 上記以外で、株主等(個人に限る)から受ける金銭等により生計を維持している者
(5) 上記(2)〜(4)の者と生計を一にするこれらの者の親族

 上記(4)の「生計を維持している者」とは、その株主等から給付を受ける金銭その他の財産または給付を受けた金銭その他の財産の運用によって生ずる収入によって、日常生活費の主要部分を賄っている者をいいます(法人税法基本通達1−3−3)。
 また、(5)の「生計を一にする」とは、必ずしも同居が要件となるのではなく、有無相助けて日常生活の資を共通にしている親族が該当します(法人税法基本通達1−3−4)。


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