平成22年度改正で創設されたグループ法人税制の概要〜平成23年改正事項をフォロー
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 4.受取配当等の益金不算入制度と寄附金の取扱い

 法人税法では、二重課税を排除する観点から、法人が有する株式について受け取った剰余金の配当等(受取配当等)については、益金不算入とされている。連結納税制度を選択している場合の連結グループ内の受取配当等は全額が益金不算入とされ、持株割合25%以上の関係法人の株式(6ヵ月以上保有)に係るものは負債利子控除後の全額が、また、それ以外の株式に係るものは負債利子控除後の50%が、それぞれ益金不算入とされている。

 グループ法人税制では、100%支配グループ内法人からの配当等を行う場合、負債利子控除は不要とし、全額益金不算入となる。現行は、子会社が親会社に配当する際、親会社の支払利子の関連会社株式相当部分が益金不算入の対象外となり、課税されることから、親会社による株主への配当や設備投資の原資が減少するなどの問題があった。そこで、100%支配グループ内の受取配当等については全額益金不算入とする制度に改められた。

 この益金不算入制度については、平成22年4月1日以後に開始する事業年度の所得に対する法人税について適用される。平成22年4月1日以後に開始する事業年度において支払いを受けた配当等の額について、その計算期間が同日前に開始した場合であっても、計算期間を通じてその配当等を支払う他の内国法人との間に完全支配関係があれば、新制度が適用される。

 一方、100%支配グループの法人間で寄附を行う場合、寄附金を支出した法人において全額損金不算入とするとともに、これを受領した法人においても全額益金不算入とし、その益金不算入とされる金額を受領した法人の利益積立金額に加算する。この取扱いは、平成22年10月1日以後に支出する寄附金の額及び同日以後に受ける受贈益の額について適用する。

 ここで注意したいのは、この寄附金の取扱いは法人によって支配されている100%支配グループ内にのみ適用されることである。個人によって支配されている100%支配グループ内の寄附金については、これまでどおり寄附した法人側は損金算入限度額を除き損金不算入、寄附を受けた法人側では益金算入となる。これは、親族など個人によって支配されている100%支配グループ内の寄附金についても益金不算入を認めると、相続税や贈与税の恣意的な操作につながる恐れがあるためと思われる。


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