約40年ぶりの大改正となる減価償却制度
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8.おわりに


 ここまで平成20年度税制改正における減価償却制度の法定耐用年数の見直しを中心に、平成19年度の抜本的改正も含めてその概要を眺めてきました。20年度改正の見直しによって減価償却制度の抜本的な見直しは完了したことになります。中小企業にとっても、制度見直しにより見かけ上の利益は減少しますが、外部借入に依存することなく自己資金で設備投資を行うことができるようになるため、減価償却費の増額は経営上好ましいものと期待されています。

 しかし、一方で、実務的には減価償却資産の資産ごとの管理や計算が複雑になる面があるのは否めません。すでに減価償却可能額まで達した資産、平成19年3月31日以前に取得して現在事業に供用中の資産、そして平成19年4月1日以後に新規取得する資産があり、その資産ごとに管理する必要が出てきます。

 こうした新減価償却制度の実際の適用は平成20年3月決算法人の決算整理等の実務からとなります。この新制度のうちで特に注目されるのは、減価償却方法の選定や変更に関する取扱いです。

 今決算に限っては、平成19年4月以後に新規取得した資産だけでなく、それ以前に取得してある既存資産についても、確定申告期限までに届け出れば償却方法を選定・変更することができます。つまり、3月決算法人であれば、この5月末までに償却方法の変更届出書を提出すれば、その届け出た償却方法による償却が認められることになります。

減価償却応援
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 一方で、250%定率法が導入されたことによって、「100%/法定耐用年数×250%」で計算した償却費が、法定耐用年数から経過年数を控除した期間内にそのときの帳簿価額を定額法で全額償却すると仮定して計算した償却額を下回るときに、償却方法を定率法から定額法に切り替えて、備忘価額(1円)まで償却するという複雑な計算も求められます。

 また、平成20年度税制改正による法定耐用年数の見直しは、既存の減価償却資産についても適用されることから、新たに償却率を登録し直す必要があります。

 こうしたことから、減価償却制度の抜本改正を機に、「減価償却計算ソフト」の導入を検討することをお勧めしたいと思います。同ソフトの利用によって、面倒な資産ごとの管理や減価償却の計算に無駄な時間を費やす必要がなくなります。


<コラム:従来の評価方法が維持される固定資産税>
 国税の減価償却制度が大改正されていますが、地方税の固定資産税については、法定耐用年数区分の大幅見直しに伴い、償却資産の評価額の算出に用いる「減価率(償却率)」が変わってきます。減価率は、原則として耐用年数表(財務省令)に掲げられている耐用年数表に応じて定められています。

 前年中に取得された償却資産は、「価格(評価額)=取得価格×減価残存率(1−減価率/2)」、前年前に取得された償却資産は「価格(評価額)=前年度の価格×(1−減価率)」でそれぞれ計算します。つまり、初年度は半年分の償却を行い、2年度以降は1年分の償却をします。

 一方、評価方法については、従来のものが維持されます。したがって、残存価額がゼロとなって固定資産税が免除されることはありません。平成19年度税制改正における減価償却制度の見直しにおいては、固定資産税の評価方法についても償却方法の変更が議論されましたが、結局、法人所得課税と固定資産税の性格が違うことから、固定資産税は従来どおりとなっています。

 つまり、法人課税の減価償却制度は、投下した資本を費用化するために行うものであるのに対し、固定資産税における償却資産の減価償却は、課税対象の資産価値を評価するために行うものであり、残存価額をゼロにすることは固定資産税の資産課税の性格になじまないものと考えられました。

 なお、地方税の固定資産税においては、1)使用可能期間が1年未満または取得価額が10万円未満のもので、一時に損金に算入されたもの、2)取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産で一括して3年間で損金に算入されたものは課税対象とされません。また、市町村の区域内に同一の者が所有する償却資産を合計した課税標準額が免税点(150万円)に満たない場合には、固定資産税は課税されません。
 
 
 
 
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