中小事業者のための消費税率引上げ対策
 平成25年10月1日、政府は、平成26年4月1日から消費税率を5%から8%へ引き上げることを正式に決定しました。同日、消費税転嫁対策特別措置法が施行され、消費税の円滑かつ適正な転嫁のために、消費税引上げ分の転嫁拒否等の行為の禁止や転嫁を阻害する表示の是正、総額表示義務の特例などが明らかになっています。

 また、新税率が適用されるのは、消費税率が8%に引き上げられる平成26年4月1日(施行日)以後に資産の譲渡等を行った場合ですが、施行日より前に契約を締結しても資産の譲渡等が施行日以後であれば、新税率が適用されます。しかし、契約の時期や内容等によっては、消費税率引上げ後でも、旧税率(5%)が適用される「経過措置」が定められています。

 事業者は、こうした消費税転嫁対策特別措置法や「経過措置」の内容をよく理解した上で、消費税率引上げの対応をすることを求められますが、それ以外にも、税率が上がった場合に納税額がどれぐらい増えるのかを把握し、納税時の資金繰りを考えることや、発行する請求書や契約書における消費税額の表示の確認、記帳をパソコンなど電子機器を利用している場合は経理ソフトの内容の変更など、経理実務への対応も求められます。

 そこで、本稿では、消費税率が引き上げられることに伴い、上記の事柄を中心に、中小事業者が経営上、十分に理解して準備しておかなければいけないことを紹介します。

1. 消費税転嫁対策特別措置法
2. 消費税率引上げに係る経過措置
3. 経理実務への対応
4. 消費税に関する問い合わせ・相談窓口

浅野 宗玄
(あさの むねはる)

税金ジャーナリスト

1948年生まれ。税務・経営関連専門誌の編集を経て、2000年株式会社タックス・コムを設立。同社代表、ジャーナリストとしても週刊誌等に執筆。著書に「住基ネットとプライバシー問題」(中央経済社)など。


株式会社タックス・コム

かんたん会計、あんしんエプソン。会計ソフト「財務応援R4シリーズ」