中小事業者のための消費税率引上げ対策
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 1.消費税転嫁対策特別措置法

 消費税転嫁対策特別措置法は、消費税率引上げを踏まえ、商品やサービスの増税分の価格転嫁の円滑化を図るため、大手の小売事業者が中小納入業者の増税分の価格転嫁を拒否することを禁じたり、「消費税還元セール」を禁止する措置などを盛り込んでおり、中小企業・小規模事業者の円滑かつ適正な価格転嫁をサポートする法律です。平成25年10月1日から施行され、平成27年3月末までの時限立法です。

 消費税率は平成26年4月1日に8%に引き上げられますが、その際、仕入側の大手小売事業者が、納入側の中小事業者に対し、商品やサービスを税込み価格に据え置いて上乗せ負担分の転嫁を拒むことや、消費税の転嫁に応じることと引き換えに、値札張替え作業などサービスの見返りを求めること、商品等の価格交渉において消費税を含まない価格を用いる旨の申し出を拒むこと、を禁止し消費税の適正転嫁を図ります。

 また、小売事業者が平成26年4月以降に商品の販売やサービスを提供する際、1)購入者に消費税を転嫁していない旨の表示、2)購入者が負担すべき消費税相当額の全部または一部を価格から差し引く旨の表示、そのほか、3)「消費税還元セール」など、消費税に関連して購入者に経済上の利益を提供する旨の表示として内閣府令で定めるもの、といった表示を禁止します。これらの表示は、消費税率引上げの趣旨に反するとの考えです。

 一方で、小売事業者の事務負担を軽減するため、価格の表示に関する特別措置を設けて、税額を含めた価格表示を義務付ける「総額表示義務」を時限措置として緩和し、「100円+税」などといった表示価格が税込価格と誤認されない表示であるときに限り、その表示を認めます。また、消費税の適正な転嫁のため必要があるときは、税込価格に併せて、消費税を含まない価格または消費税の額を表示することも認めます。

 事業者や事業者団体に対しては、参加企業の3分の2以上が中小企業であることを条件に、独占禁止法で禁止されているカルテルを一部容認します。増税分を申し合わせて一律に価格に上乗せする「転嫁カルテル」や、価格の表示方法を業界で統一的に定める「表示カルテル」を認めます。公正取引委員会等が、違反行為に対する罰則規定や、何が法律違反となるのかを具体的に示すガイドラインを作成しています。


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