言霊〜ビジネスの最小単位は言葉
株式会社上場ドットコム
IPOリソースのネット調達を実現
 
日本IPO実務検定協会
IPO実務検定試験を通じ、上場準備担当者を育成

 
プロフィール
原田 清吾(はらだ・せいご)

筑波大学(法学修士)、英国リバプール大学(MBA)。法律系雑誌の記者を経て、2006年、株式会社上場ドットコムを設立。事業のさらなる飛躍のためにIPO(株式公開)を選択肢として考えはじめたベンチャー経営者からIPO実務の担当者までを対象に、IPOに関する実務情報を無料で提供し続け、日本中のIPOを目指す会社の関係者が皆登録するメディアになることを目標に成長を続けている。2007年に設立された日本IPO実務検定協会の理事を兼任。著書に「企業法学」(商事法務研究会 共著)、「担当者別株式公開マニュアル」(同友館 共著)、「IPO実務検定公式テキスト」(中央経済社 共著)がある。役員報酬の課税上の問題点を説いた「インセンティブ型報酬制度拡充の必要性と課税上の問題点」で日税研究賞受賞。



   
【3つのキーワード】
 
1.逆風のときこそ「上場」のサポーターでいたい!
2.教育事業を通じ、人材面から上場をサポート
3.事業戦略はスキーム重視で
 
 
【起業の頃について】

――起業のきっかけは。

原田:
 「上場」というと、投資家サイドに立ったサイトはたくさんあるのですが、上場準備の実務を体系的に整理したサイトがなかったことです。そこで、法律や財務系のコンテンツ作りを長年やってきた私とIPOコンサルタントである公認会計士の友人とでこの会社を立ち上げることにしました。しばらくして、監査法人出身で、税務顧問先を上場に導いた経験もあるIPOに強い税理士も加わり、現在は三人のボードメンバーで会社を運営しています。
   
 
――起業の頃にご苦労されたことは。

原田:
 はじめはサイトの認知度を上げるのに苦労しました。ただ、SEO対策など小手先の認知度アップ策にはあえて走らず、地道にコンテンツの量、更新頻度を増やしていきました。試行錯誤しながら徐々に認知度を上げ、サイト立ち上げから2年半を経過した現在は検索エンジンでも常に上位に表示されるようになり、900社の上場準備企業に会員登録していただいております。


――収益はどこから得ているのですか。

原田:
 上場準備企業にサービスを提供している証券会社や証券印刷会社、ベンチャーキャピタルなどからのスポンサー収入です。


――失敗したことは。

原田:
 ボードメンバーは皆インディペンデントなタイプで、ほかに収入があったこともあり、創業当初はあまり商売っ気がなかったことですね。もちろん、今はきちんとビジネスベースでものを考えるようになりましたが。


【経営について】

――事業ドメインとミッションについて。

原田:
 事業のさらなる飛躍のためにIPOを選択肢として考えはじめたベンチャー経営者からIPO実務担当者までを対象に、「まず何から手をつければよいのか」という基本的なアドバイスから上場審査への対処方法までをフォローし、IPOという目標をトータルにサポートすることをミッションとしています。
 

――今の事業内容は。

原田:
 2つの事業の柱があります。
 1つは、「上場ドットコム」というWebサイトの運営です。会員である上場準備企業に対し上場準備実務に関する情報提供を行う一方、上場プレイヤーである証券会社などからスポンサー収入を得るというビジネスモデルです。
  もう1つは、教育事業です。日本で唯一のIPO実務者向け検定試験である「IPO実務検定試験」を、証券印刷大手の宝印刷さんと協力して、昨年(2008年)8月にスタートさせました。弊社は、日本IPO実務検定協会の事務局を担っています。また、資格スクール大手のTACさんは、IPO実務検定試験の対策講座を開講しています。
 対象者は、上場準備企業の公開準備室、経理財務部門、内部監査・内部統制部門、経営企画室など、上場準備に携わる担当者の方です。また、証券会社や会計事務所、監査法人、銀行やベンチャーキャピタルなどの専門家・上場コンサルタントの方々も受験されています。IPO実務検定試験には、標準レベル(SIP)と、上級レベル(AIP)があります。SIPは、上場準備スタッフとして上場準備室長のサポート業務をこなすことができるレベルを想定しています。AIPは、上場準備室長として上場準備に必要な業務の特定ができるほか、それらの業務を社内の適材適所にアサインし、また監査法人・証券会社など上場関連プレイヤーとの折衝ができるレベルを想定しています。


――IPOを目指す企業は激減しています。昨年(2008年)は49社でした。

原田:
 はい。上場企業数は減少していますが、潜在的な上場準備企業数はそれほど減っているわけではありません。確かに、現在は市場の環境が悪いため、上場時期を先送りにしている企業も少なくありませんが、こうした逆風のときこそ、上場を目指す企業、そして上場市場をサポートすることが重要だと思っています。


――内部統制報告制度が負担だとの声も多いようですね。

原田:
 そういう声があるのは事実です。IPO市場を盛り上げていくためには、こうした声を踏まえ、上場制度面の見直しにも踏み込んでいく必要があると思います。その点、今年(2009年)東京証券取引所とロンドン証券取引所が合弁で設立する「TOKYO AIM」は、内部統制報告書が不要で、監査証明も上場直前期1期でよいことになっています。もちろん、自社の上場適格性を評価するJ−Nomad(証券会社等)の確保の問題もあり、TOKYO AIMへの上場が簡単だということではありませんが、上場を目指す企業の側に立った有意義な試みだと思います。
 先日、TOKYO AIMに関するセミナーを弊社と大手信託銀行で共催したところ、大勢の方にご来場いただき、この市場に対する関心の高さを実感いたしました。


――今後の事業展開は。

原田:
 四半期開示や内部統制報告など、上場企業の開示負担が重くなる中、最近は新興上場企業を中心に、開示義務を十分に果たせないところが出てきています。そこで、今後は、上場後のディスクロージャー支援も行っていきたいと考えています。


【会計・財務について】

――資金繰りをよくするには。

原田:
 事業を企画する際、はじめから資金繰りのよいビジネスモデルを構築することが大切ではないでしょうか。


――ご自身の会社の上場は。

原田:
 現在は上場準備企業の支援に全力投球していますので、自社の上場については、今のところ考えていません。


【パーソナル情報について】

――好きな言葉は。

原田:
 『言霊』です。ビジネスは、つまるところ人と人との関係で成り立っています。対人関係はコミュニケーションによって成立しますし、そのコミュニケーションの最小単位は言葉です。ですから、ひとつひとつの言葉を大切にしていきたいと思っています。


――尊敬する経営者は。

原田:
 日本電産の永守重信社長です。
 会社が成長してもベンチャー精神を失っていないところに惹かれます。


――私も永守さんのファンです。ところで、原田社長から中小企業の社長にお薦めの本は。

原田:
IPO実務検定試験公式テキスト
  『IPO実務検定公式テキスト』(日本IPO実務検定協会・著)です。このテキストは、上場のテクニカルな実務のみならず、会社経営に必要なエッセンスが数多く盛り込まれています。上場を目指すか否かにかかわらず、中小企業の経営に役に立つと思います。


――今日はありがとうございました。

原田:
 こちらこそありがとうございました。

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税理士 内田麻由子
インタビュー
内田麻由子会計事務所
税理士 内田麻由子
 
取材後記 靖国神社の目の前の明るいオフィスで素敵な笑顔で出迎えてくださった原田社長。取材にもフレンドリーに応じていただき、話題に上ったWebサイトをその場で検索して見せてくださるところなど、さすがIT企業の社長さんだなと思いました。
 「逆風のときこそ上場を目指す企業を応援したい!」という原田社長の志に感銘いたしました。これからも上場を目指す経営者の強い味方として、益々のご活躍をお祈りしております。

取材:2009/02/12