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松崎みさ(まつざき・みさ) 京都生まれ。6歳から9歳まで南アフリカ共和国で過ごし現地の学校で教育を受ける。獨協大学卒業後、経営コンサルティング会社(株)モベラ(ベンチャーリンクの子会社)に入社。フランチャイズビジネスの経営コンサルティングに携わる。1995年、中古車買取の(株)ガリバーインターナショナルを担当、現在のビジネスのヒントを得る。また世界50カ国以上を旅した経験から、ボーダレスリサイクリングをコンセプトとしたリサイクル品流通のヒントを得る。1997年6月、アガスタを起業。2004年7月、東証マザーズに上場。2005年9月、代表取締役社長から取締役会長に就任。趣味はスキューバダイビング、海外旅行。 【3つのキーワード】 1.「ボーダレス・リサイクリング」・・・国境を越え地球規模でリサイクリングを 2.「新卒採用」・・・中小企業こそ新卒を戦力にして成長すべき 3.「経営者はアーティスト」・・・自分の思った絵をキャンバスに描こう 【起業の頃について】
――起業のきっかけについて教えて下さい。 松崎: 大学卒業後に入社した経営コンサルティング会社で、ある中古車買取専門会社を担当させて頂いたことが、起業のヒントになりました。まだまだ使えそうな車がスクラップされていく光景を目の当たりにし、「もったいない。海外なら乗りたい人が絶対にいる!」と思ったのです。幼少時を海外で過ごした経験から、日本ではスクラップ同然の中古車でも海外では十分にニーズがあると直感しました。 ――起業の経緯は? 松崎: 貯金300万円を元手に、千葉県の自宅アパートの一室でスタートしました。各国の在日大使館にアプローチして海外ディーラーの連絡先を入手するなど懸命な営業の甲斐もあって、3カ月後には都内に事務所を借りることができました。 ――起業されたばかりのころご苦労されたことは? 松崎: やはり最初の思い出というのは人ですね。人の採用に中小企業は苦労します。採用しても採用しても辞めてしまいます。ここをブレークスルーするまでに少し時間がかかったかなと思います。 次に苦労したのが、お金です。仕事があってもお金がない。やはり「ヒト、モノ、カネ」の不足が、なかなか思うように会社を拡大できなかったという意味では大変でした。しかし同時に、自分の修行の期間でもあったと思います。 ――起業間もない頃は、総務や経理といったバックオフィスの業務がどうしても後回しなってしまうこともありますね。
松崎:創業の時は、社長が営業も総務も人事も経理もやるということになると思います。それがだんだん組織になってきてしっかりと各部門に管理者ができてきて、まわるようになっていくのではないでしょうか。それを任せられないタイプの経営者は、会社として大きくならないでしょう。ある程度のところでどんと任せていくという決断が必要なのではないかなと思います。 ――女性経営者ということでご苦労されたことはありますか? 松崎: いえ、得することばかりでしょうね(笑)。応援してもらいやすいですし、マスコミにも取り上げていただきやすいし。得をすることが多いのではないでしょうか。 【経営について】 ――一昨年には東証マザーズに上場され、取引先も売上も伸びていらっしゃるところですが、会社が大きく成長した一番の理由は何でしょうか? 松崎: 資金と人でしょうね。会社の経営の3大要素は「ヒト・モノ・カネ」といいますが、人と金とビジネスモデルのすべてがバランスしないといけません。ビジネスモデルというのは、大体経営者の頭の中にありますが、それを大きくするために潤滑油となる、人とお金をうまく調達できない。これが成長のネックになるわけです。そこをうまく取り込んでいったのが、私たちの成長のキーポイントではないかと思います。 ――今後の戦略についてお伺いします。松崎会長・鈴木社長という新体制になりましたね。 松崎: 会社自身が中古車の輸出ということでスタートし、7年目には上場しました。8年たった段階で、既存の事業を任せて、さらに新しい分野に進出をしてきたいと思っていたわけです。新しい事業を開拓するのは当然自分であると思いましたので、そこは自分でやり、既存の事業を固めてくれる人が欲しかったということで、鈴木を社長にしてそこはお任せして、更に先に進むという形ですね。
――ホームページを拝見しますと、中古車だけではなくほかの商材あるいはサービスも提供したいということを書かれていますね。 松崎: そうですね。商材に関しては車ということを越えて、国境を越えていろいろなものをリサイクリングしていきたいということで、「ボーダレス・リサイクリング」という言葉を使っています。例えば建機であるとかバイクであるとか、車以外の商材も手掛けており、輸出を開始しています。日本の優秀な商材を海外に出したいというニーズは相当ありますね。 【組織について】 ――人の採用と教育については、いかがでしょうか? 松崎: 採用については、新卒採用に切り替えたことが成功のポイントです。それはよくマスコミにも書いていただいているのですが、中小企業は即戦力になるということで中途の人を採用する傾向が強いと思います。でも、それはほかの会社で癖がついている、もしくは辞め癖がついている人たちを探していることになるので、実は会社としては中小企業しか作れないのです。そこに気付かずに中途採用していたため人が定着しなかったのですが、新卒採用に切り替えたことが成功のポイントとなりました。 教育・研修については、力を入れていると思います。ほとんど新卒の社員で幹部になってきています。
――社長の理念を社員に伝えるための工夫はありますか? 松崎: どこの会社の社長でもやっていることは同じだと思いますが、よく話すこと、会社の方針を共有すること。やはり一人一人を経営に参加する仲間として扱うことが、大切なのではないでしょうか。 ――評価はどのようにされていますか? 松崎: 営業については営業成績に応じて、バックオフィスに関しては目標達成度合いに応じて、それぞれ毎月あるいは半期タームで評価がされる仕組みがあります。 【外部ブレーンの活用について】 ――外部ブレーン(専門家)の活用についてはいかがでしょうか。 松崎: 会社の成長ステージに応じて、例えば上場のために監査法人など必要なリソースの契約をし、アドバイスを受けてきました。上場をするという意味で言うと、いわゆる一般の税理士の先生や会計士の先生ではもちろんできませんので、上場に詳しい先生についていただくというやり方はしていました。 また監査役には、大きな監査法人の役員の方や、弁護士の方などに入っていただいています。 【会計・財務について】
――会計についてどのように勉強されたのでしょうか。 松崎: 学校に行ったわけでもありませんし、特に勉強はしていないのです。顧問の会計士や税理士に質問したり、書籍を読んだりして、仕事の中で、必要なことを必要なときに覚えていったということですね。 ――資金繰りについては、一番社長さんが苦労なさることが多いと思います。資金繰りをよくするために、どのような工夫をされていますか? 松崎: 当社の事業は営業キャッシュフローが常にマイナスになる事業です。ですので、資金繰りをよくする工夫というのはあまりなくて、資金を円滑にまわすために市場から調達するということをしています。支払いが先でお客さまからの入金があとの仕組みでやっていますので、それを逆転できればいいのですが、業界慣習があってなかなかできないのです。 ――そうしますと、常に予測を早めに立てて調達を早めにすることが大切になりますね。 松崎: そうですね。簡単に言うとそういうことでしょうか。 ――世界中の様々な国の方に販売するので貸し倒れのリスクもあると思いますが、与信についてはどのような対策をしていらっしゃいますか?
松崎:各国の与信については、実はそうした機関がありませんので、本当にとれないですね。ですから、商品を渡す前にすべてのお金を回収するという条件で販売するなどして、貸し倒れが起きないようにはしています。 ――次に、資金調達を円滑にするためには何が大切でしょうか? 松崎: やはり上場企業の場合、投資家へのコミュニケーション、IR活動を通じてきちんとディスクローズをしていくということが大切ではないでしょうか。 【パーソナル情報について】 ――好きな言葉は? 松崎: 社名の由来でもある、『Age Like a Star(星のように輝く人生を)』です。 ――これはどなたかの言葉なのですか? 松崎: いえ、自分で考えました。星のように輝く人生を自分自身が歩みたい、楽しく生きていきたい、という思いを込めて作った言葉です。 ――尊敬する人物(経営者)は? 松崎: 亡くなってしまいましたが、マクドナルドの藤田田さんが好きです。 日本にハンバーガーがなかった時代に、新しい食生活の文化を作ったこと、一代で帝国を築き上げたところを尊敬しています。賛否両論いろいろな評価があると思いますが、彼のそうしたパワーに憧れます。
――中小企業の経営者の方におすすめの本を教えて下さい。 松崎: 個人的に好きな本は『星の王子さま』です。経営者の人が読んでも原点に返ることができて、意外といいかもしれません。 ――今回は初めて女性経営者にご登場いただきました。頑張っている女性経営者の方へひと言、元気になるお言葉をいただけますでしょうか。 松崎: 経営者になるからには、自分の思った世界を自分で実現したいと思ってなられると思います。自分の思った絵を自分のキャンバスに描くという意味で、経営者はアーティストのようなものですね。ですから、思い切りお互いにやりたいですね。 ――本日はお忙しい中お時間をいただきありがとうございました。 松崎: こちらこそありがとうございました。 |
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松崎会長のお話を伺って、女性らしい柔らかさと芯の強さを兼ね備えた、とても魅力的な経営者という印象を持ちました。オフィスについては、通常は応接と事務所を分離して事務所を見せない会社が多いのですが、アガスタさんは、オフィスに入ると見晴らしのよいワンフロアの真ん中に社員の執務スペースがあり、その周りに会議室と会長室があるという配置。ワンフロアに全員の机が並べられていますから、上司や他部署の人とすぐにコミュニケーションがとれそうです。オフィスは若い社員の方々の活気に満ち溢れていて、まさに戦場という感じでした。 取材:2006/01/23
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