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増永寛之(ますなが・ひろゆき) 1974年生まれ、奈良県出身。1999年3月に早稲田大学大学院を修了後、大和証券株式会社に入社、渋谷支店に配属される。2000年前後に盛り上がりをみせた渋谷「ビットバレー」に刺激を受け、2000年7月末に同社を退社、2000年8月8日(株)ライブレボリューションを設立。インターネット広告代理店事業を中心にメルマガ「プレジデントビジョン」(読者数13万人:2005年7月1日時点)や転職サイト「エントリーライン」を立ち上げ、インターネットサービス企業として同社を急成長させている。 【3つのキーワード】 1.失敗、そして「今日から変わる!」 2.大手企業からの信用を得るには? 3.「株価=自価」で3億円の増資に成功 【起業の頃について】 ――起業のきっかけについて教えて下さい。
増永:中学1年生の時に「大企業の社長になる」という目標を持ちはじめ、60歳ぐらいで社長になるということを前提に生きてきました。当時は、大企業の社長になるためには大企業に入らなければなれないと思っておりましたので、大和証券に入社しました。 入社が1999年、その8月に渋谷支店に配属されました。その頃、「ビットバレーがこれから盛り上がるぞ」という、まさにその直前にビットバレーのイベントに参加したのです。300人位の方が集まっており、多くの方が社長。当時私は25歳でしたが、驚いたことに同年代の社長が大勢いたのです。 私はその時初めて「会社は自分で作れる」ということを知ったのです。それまでは、会社を作るという発想自体がありませんでした。しかし同年代の社長を見て「なんだ、会社って作れるのか」と思い、60歳まで出世して社長を目指すというのではなく、自分で会社を作ってそれを大企業にしたほうが早いということに気付いたのです。これが起業のきっかけです。 ――大企業をやめて社長になる。何をやるかいろいろな選択肢があると思うのですが、今の事業をやろうと思われた理由はなんですか? 増永: 大和証券時代に、ビットバレーの社長40人にインタビューをしてその内容を日経BP社さんから一冊の本として出版することになったのですね。その時のお話の内容で、「インターネットビジネスって、こうやってできているんだ」というのがわかったのです。 当時、インターネットがビジネスになるのかどうかということが、世の中でまだあまり理解されていない時期でした。しかし、社長様方が「こうやったらビジネスになるんだ!」ということを、自信を持って語るのを聞いているうちに「自分もインターネットビジネスができるのではないか」と思ったのです。 インタビューで「会社というのはこういう風に作って、こういう風に成長させるんだ」という話を聞くことができ、わかったつもりになっていました。 そのノウハウを実践しようと、2000年の8月に会社を立ち上げたのです。しかし、経験不足ということと、ネットバブルが2000年3月に崩壊し、その後「ネットはビジネスにならない」という風潮になってしまい、まさに逆風となりました。「出資してください」と4ヶ月間ベンチャーキャピタルを40社くらいまわったのですが、それまでは「アイデアさえあれば1億円出資するよ」という風潮だったのが、「もうインターネットビジネスには1円も出しません」という風潮に変わってしまい誰も出資してくれなくなったんです。 それなら誰にも頼らなくていいビジネスをやろうということで、営業のコンサルティングを始めました。大和証券では営業をやっていましたし、一緒に会社を作った仲間も証券会社の人間でしたので、営業はできます。そこでまず営業のコンサルティングを始めた、というのが最初のビジネスです。 しかし1年続けてみた結果、4人でやっても年商2,800万円。これを将来10億、20億、100億円とやっていこうと思ったら何人必要なんだと思い、この事業は縮小したのです。そして創業2年目にはインターネットの広告代理店をスタートさせました。これは急成長中です。 ちょうどそのころ私はもっと社長業を勉強したいと思い、自分でできることはないかと考えたんですね。そこでメールマガジンの発行を思いついたのです。以前に日経BP社さんから本を出版した際にインタビューした方々にお願いし、1つずつ形にしてきた、それが『プレジデントビジョン』というメールマガジンです。 ――写真入りのカラーのメルマガは当時珍しかったので、私もよく覚えています。これは社長さんのアイデアなのですか? 増永: 実は『プレジデントビジョン』は3年前に考えたものなのですが、発行したのは2年前つまり1年間ブランクがあります。当時、“まぐまぐ”という配信スタンドは無料でしたが、HTMLがあまりうまく使えなかった。そしてせっかく読者が増えてもすべて“まぐまぐ”のデータになってしまうため、使うのをやめました。 そこで1年間かけて自分でプログラミングを勉強して、サーバーからプログラミングそしてデザインまですべてを自分で作成してメール配信を始めました。クリックカウントなどのデータも全部とれるように作ったので、当時としては画期的なものだったと思います。おそらく当時日本でNo.1のシステムを作ったと自負しています。 ――いちばん苦労なさったことは何ですか? 増永: そうですね、経営上での苦労はたくさんあります。たとえば、創業して4ヶ月間は売上ゼロだったので、2,300万円の資本金が、最初の4ヶ月間で半分なくなりました。この時はさすがに1ヶ月間、一睡もできませんでした。目をつぶれば自分がベンチャーキャピタルにプレゼンしているシーンが出てきて、いくら何を説明しても「わかりません」「ネットはだめだ」と言われ、「なんでわかんないんだ」とベンチャーキャピタルの人達の前で壁を殴っているシーンが夢に出てくる、そんな日々が続いたのです。 ――それでもあきらめなかったのは、何が原動力になったのでしょうか。
増永:4ヶ月続けても売上はゼロ。そうすると、あと4ヶ月で会社がなくなるということがわかります。その時、母に電話をしたのです。「僕はあれだけ見栄をきって、絶対成功します! と言ったにもかかわらず、今日まで売上ゼロ。あと4ヶ月で会社はなくなります。」と言うと、母が「大丈夫、あなたは巨万の富を築く男だから。がんばりなさい。」と言ってくれました。「何で?」と聞くと、「お母さんのお友達の占い師がそう言っていたから。」と。私はその時「母はこれだけ期待している、この期待には絶対応えなくてはいけない。今弱音を吐いたけれど、明日から俺は変わる!」と決意したのです。 ではどうやって変わるか。売上が4ヶ月間ゼロということは、今までの4ヶ月間のやり方は全部否定しなくてはいけない。同じことをやっていたのではまた同じことになります。ですから、今までやっていたことは全部止める、そう決めたのです。何を止めるのかというと、ベンチャーキャピタルに「出資してください」と頼むこと。これを一切止めようと決めました。 翌朝、社員と役員を全員集め「今日までベンチャーキャピタルのために資料を作りプレゼンをやっていたが、今日から一切止めます!」と宣言したのです。そしてコンサルティングビジネスをスタートさせ、翌月には黒字転換しました。 ――起業の頃、失敗したことはありますか? 増永: まず一つは、資金調達に失敗したことです。システム投資に1億円が必要で、その1億円を増資するために、先ほど述べたようにベンチャーキャピタルをまわっていました。しかしまったく相手にしてもらえず、失敗。 翌月には黒転しましたが、そこでひとまず安心しましたね。そして次に始めた新しい事業のために、中国の会社にシステム開発を発注したのです。中国側は「すごく安くやります。200万円で全部やるから前払いでください。」と言うので、前払いで支払いました。すると、「これでは足りませんでした。もうあと200万円ください。」と言うので、また200万円払う。合計400万円払い、いい加減に完成してもらわないと困るわけですがまた足りないと言われ、また400万円払う。結局合計800万円かかり、システムは1年後にようやくできました。 完成したあともより良いシステムにするためには、システムを更新していかなくてはいけません。しかし、お金を支払っているのに対応をしてくれなくなってしまったのです。中国にいるのでこちらから電話しても出ない、対応しないということが続きました。広告収入のビジネスモデルなのですが、広告を受注できて中国のシステム会社に掲載を頼んでもその掲載すらしないので、まったくビジネスになりません。仕方なくその会社は1年で切りました。その時の投資をまるまる損したことも失敗のひとつですね。 【経営について】 ――現在、事業の柱が3つ、アカウントプランニング、プレジデントビジョン、エントリーラインとありますが、売上構成などはいかがですか? 増永: アカウントプランニングは創業2年目からこれまでずっと進めてきまして、売上の95%を占める部門となっています。残りの5%が『プレジデントビジョン』です。 エントリーラインは実は今あまり力を入れていない部門です。少しやってみてプライオリティを付け直したところ、アカウントプランニングが1番、プレジデントビジョンが2番、エントリーラインが3番ということで、エントリーラインの人員をアカウントプランニングに全員移しました。ですからプレジデントビジョンとアカウントプランニングの2つと考えてください。 ――1番目の事業、「アカウントプランニング」とはどういうことを提供するサービスですか? 増永: これはインターネットの広告を仲介するというサービスで、お客様がいてYahoo! のようなメディアがある、そこに代理店である我々がこの間の広告の取次ぎを行なうというビジネスです。 ――ライブレボリューションに頼むと、お客様にとってのメリットは何ですか? 増永: インターネットの広告を出す時に重要なのが、費用対効果です。1件のユーザーを獲得するのにいかに安く済ませるか、ということが大事です。しかし、世の中にはインターネットのメディアが沢山ありすぎて、お客様はどこに何を出せばいいのかということがわからない。何万とあるメディアにいちいち聞いていたのでは仕事になりませんよね。そこを我々が仲介するのです。 我々はいろいろな会社の広告を取次ぎしていますから、数多くのメディアと仕事をしています。どこのメディアが今いちばん広告の費用対効果が高いかということを把握しているわけです。したがって、お客様にとって最も費用対効果が高いであろうメディアを提案することができるのです。特に力を入れているのが、金融の分野です。私たちは金融機関の出身ですから、金融の会社であればどこに出したらいちばん効果が高いのか、ということに非常に強いのです。広告代理店の人、メディアの人は、金融用語を分からない人がほとんどです。しかし我々は金融の分野のことがわかっていますので、「ここがいいですよ」ということを提案できる。この点も、他の代理店にはない大きな強みですね。 また今年(2005年)の4月から、モバイル(携帯)の広告取次ぎにも参入しました。これが非常に伸びています。携帯にも沢山のサイトがありますから、どこに出せばよいかわからない、という方たちのために私たちが仲介役を担っています。モバイルの広告代理店で伸びていると言われている会社のなかでは、弊社はおそらく現在、日本でNo.1ではないでしょうか。 ――広告を出すお客様のお客様、つまりエンドユーザーが、どのように広告を見ているのか、どんな広告を出せば効果的か、という課題もありますね。 増永: はい、ですから分野を絞って金融なら金融、化粧品なら化粧品というように、業種と業界に特化していかなければなりません。 それから我が社では「カスタマーインティマシー戦略」といいまして、「お客様といかに親密になれるか」ということを重要視しています。 たとえば、弊社とある会社が親密になるためには、1人の営業担当者が30社に対応するのではなく、できるだけ1社に絞っていく。あるいは1社に対して弊社の担当者が2、3人対応するという体制をとります。その方が、お客様との関係が濃くなりますよね。他の代理店はほとんどが1人で30社を担当しますから、1社あたりにかける時間が弊社の30分の1になってしまいます。 これを実現するためには、各業界の大手に絞らなければなりません。小さな会社だと予算も少ないですし、細かいことがたくさんあります。大きな会社、例えば電機なら上位の3社、NEC、日立、SONYにだけ特化する。そうすると1社当たりの予算も大きいですし、1回の広告も大きいので、売上げも利益も多く上がります。上から順番に取引していく、というのが我々の戦略です。顧客資産を見て頂くと非常に有名な会社が多いです。当然、株主や銀行も取引先を見ますので、我々の信用も上がります。 ――最初は、中小企業が大きな企業と取引を開始するのは難しいと思いますが、そのあたりで何か工夫されたことはありましたか? 増永: 一つは創業当初の社外取締役にインテル元会長の傳田氏や、ビットバレーを作ったネットエイジグループ社長の西川氏に就いて頂いたことです。 もう一つは、我々の事業が新しい分野であるということです。特にモバイルは新しいので、大手企業のなかでそれを理解している担当者はまだ少ないわけです。古い分野だと相手もわかっているし、大手の代理店に頼もうということになりますが新しい分野ですと、大手でも分かる人がいない。それだけ、ベンチャーは大企業と取引しやすいわけです。モバイルは特に大手企業との取引を開始するチャンスですし、1社と取引できれば「あの会社はどこと取引があるから大丈夫」というように、他の会社もどんどん取引をしてくれます。 あとは資本金が2億円以上ありますので、そうした点もあるかもしれませんね。また起業時のパートナーをどうするかという面では、こんなエピソードがあります。私と、ある社長で、某上場企業に訪問した時のことです。私は相手の担当者さんからは質問されなかったのですが、一緒に行った社歴の長い社長は「御社との取引は大丈夫なの?」というようなことを聞かれたんですね。 どこに差があるのか。分析した結果、一つには私自身が大和証券の出身で、弊社の役員も全員が証券会社出身だったということです。それに対してその社長は、まったく素性のわからない人たちでやっていたのです。そうしたことで信用を得られず苦労するということは、時にあると思います。 会社を作る時点で私は、「どんな人と組むか」ということに気を使っていました。やはり金融機関に勤めていた人は、基本的には入社するまでのことを調査しているでしょう。そのような安心感が金融機関出身者にはあると思います。ですから企業側の人も安心して付き合ってくれるということが大きいと思います。今までにそういう意味で疑われたり困ったりしたということは、一度もありませんでしたね。 ――第2の事業、プレジデントビジョンでは、今までに何人位の社長様方に会われたのですか?
増永:今まで90人以上の社長様方にお会いして、様々なお話をお伺いしてきました。 ――ホームページでは、お勧め本を紹介していらっしゃいますが、これも社長さんのアイデアでしょうか? 増永: そうですね。実は私は3年前まで読書ということをしたことがなかったのです。本を読むことは無駄だと思っていたので、本を読まないように徹底していました。 しかし『プレジデントビジョン』を書いていくにあたり、前回インタビューを行なった際には「日経」という看板がありましたが、今回はそれもありません。社長様方と話をした時に「つまらない」「こいつわかってないな」と思われたら信用がなくなってしまいますよね。そこで社長様方が好きそうな本、有名な歴史の本などを、1年間集中して読み出したのです。 おかげさまで現在『プレジデントビジョン』は、社長へのインタビューメルマガだということは有名になってきました。そのメルマガ上でインタビューとは別に、私はコラムも書いているのです。 普通、社長様のコンテンツだからインタビューだけを書いて載せていれば、メルマガは成立すると思われがちです。だけど私は、インタビュー以外のコンテンツも作らないとこれは失敗するなと思ったのです。 なぜかというと興味ある社長様もいれば、自分の興味のない社長様が出ることもあります。その時に読むのをやめてしまう、送られてきても開かない、ということが起きてしまうということを予想したのです。したがって「必ず毎回、読者の方々が配信日を楽しみに待っている」そういった状況を継続しておかないといけないということで、皆さんが楽しめそうなコラムを書くことにしました。 1年目は毎号書いていたのですが、だんだんネタが無くなってきます(笑)。1年間ストックしたとはいえ、さすがに思いつかない。そこで同時並行で本を読んでいたので、その本から吸収したことも書いたりしています。その時に、おもしろい本はやはり読者の方々に紹介しなくてはいけないと思いお勧め本というのをはじめました。 最初から時々は紹介していたのですが、一覧になっていないと探しにくいと思い、今は「増永読了本」として紹介しています。 ――3番目のエントリーライン事業、今あまり力を入れていないということですが、人材紹介で成功報酬型というのは、大変画期的だと思ったのですが・・・。 増永: これがうまくいかなかった理由の最大の原因は、予想する売上ペースではなかったことです。事業計画の売上の伸びるスピードと比べてあまりにも遅かったので、半年位で見切りをつけました。成功報酬という新しいモデルなので、売上の読みがうまくできなかったのです。企業の担当者がどのくらいの確率で(面接の)承認をしてくれるかということが読めない。 私たちは2007年に上場することを目標にしていますので、事業計画上、この事業を続けているとマイナスです。したがってこの部分をまず削りたいというのがあったのです。また現状のシステムでは、まだまだ欠けている点が多々あります。 もしこのビジネスモデルが本当に駄目だと思ったらすっぱりやめていますが、あえて残しています。なぜなら今後、今以上にエントリーラインのシステムを構築してくれる優秀な人材が現れるかもしれません。その時に再開すれば、今いるユーザー企業が使ってくれます。それに、株式を公開したあとのほうが、システム改良に資金を投入できるということがあります。 現時点ではほとんどコストをかけずに運用しているので、逆に言えば単月で黒字のビジネスですね(笑)。 【会計・財務について】 ――会計については、証券会社にいらしたのでご専門だと思いますが。学生の頃にはじめて会計を勉強されたのですか? 増永: そうですね。大学時代に簿記3級は取得しましたし、大学院まで行っているので、税理士資格の一部免除もあります。 ――会計の知識がなく会社を興す社長さんがほとんどだと思いますが、そうした意味でもスタートが違いますね。 増永: もちろん私自身、それほど詳しく勉強をしようと思ってはいなかったので、一般的なことしかわかりませんが、他の人よりはそうした知識はあるかもしれませんね。 ――資金調達については、どのような工夫をされていますか? 増永: 弊社は今年1年間で3億円の増資を成功させたのですが、増資時の株価は5万円換算すれば1株400万円です。ここが、私が他の人と違うところです。たぶんこれをやっている人は、日本にいないと思います。私は『スターバックス成功物語』という本からヒントを得たのですが。 必要な資金がありますよね。たとえば、昔でいえば私は1億円必要だと思っていましたし、今回3億円が必要なので、3億円を作ろうと思いました。私が1回目の増資で学んだことは、出資する気がさらさらない人にどんなに誠意をもって説得をしても、上手くいかないということです。そこで『スターバックス成功物語』を読んで考え直したのは、「買いたいと思ってくれる人に売る」ということ。もっと言えば、「買いたいと言ってくれる人に出会えるまで探し続けること」です。私を応援しようという人であれば、実は株価など見ないのです。「いくらでもいいよ」と。では、株価をどうやって決めるのか。株価というのは基本的には相対です。特に未公開企業というのは、いくらでなくてはいけないという決まり事は一切ありません。プロはそれに理由をつけなきゃだめだというのが仕事です。初めて会社を作る人はそんなことを知らないので、専門家に相談すると「こういう理論でやるんですよ」と言われてやります。しかし、そんなことは必要がないということを私は知っていたので、株価については自分で必要な額、売りたい価格を自分で勝手に決めました。「400万円です、これでも買う人」と(笑)。 ――それは聞いたことがありません。つまり、株価=「時価」ではなくて「自価」(自分の価値)。それだけ社長さんを応援して下さる方がいらっしゃるということですね。 増永: そういうことですね(笑)。 【外部ブレーンの活用について】 ――外部ブレーン(専門家)の活用についてはいかがでしょうか。 増永: まず決算は税理士の方にお願いしています。監査を受けていますのでそれは監査法人に、すべてプロに任せています。 あとは、取締役の一人は野村証券出身でさらに米国公認会計士の資格を持っています。また大学時代の友人が会計学科だったので、自分で会計をやらなくてもいいようにそういう人材と起業しました。 ――そうすると外の税理士さんに望むこと、お願いしたいことはどういうことですか? 増永: 税理士さんに言うならば、「早く決算をあげてほしい」ということを望んでいます(笑)。もちろんちゃんとやってくれていますよ。会計士の方々は、半期に一度報告会をしてくれますから大変助かっています。 ――法務についてはいかがですか? 増永: 2年目から顧問弁護士をつけています。外部の方にお願いして、こちらからお願いしたことをやって頂くという考え方です。必要に迫られた内容は、やはりプロにやってもらいます。 【パーソナル情報について】 ――好きな言葉を教えてください。 増永: 「すべては、夢を持つことから始まる」―ソフトバンクの孫さんから頂いた言葉です。 『プレジデントビジョン』を立ち上げた際、孫さんに「こういうことをやっているのですが、これからの起業家・若者に向けて、元気になる言葉を頂けませんか?」とメールを送ったのです。そうしたら13時間後に返信があり、「すべては、夢を持つことから始まる」という言葉を頂いたのです。 これを私の座右の銘にして、世の中にこの言葉を広げ、みんなに勇気を持って生きてもらいたいという願いでいつも使っていますし、どこにでも書いています。これがいちばん大好きな言葉です。 ――尊敬する人はいますか? 増永: 歴史上の人で言えば、上杉鷹山です。米沢藩という当時ものすごく不景気な藩がありました。何百年かかっても返せないような借金があったなかで、それを全部返済したという人です。 江戸時代なので「武士がいちばん大事だ」という考えが一般的でした。しかし鷹山は藩民、農民、商人などの人たちのほうが大事だというとても民主的な考え方を持ち、「民を愛して民を豊かにする」ということを掲げてきた藩主です。藩民を愛する「愛と徳の経営者」という感じですね。 今の社会で言えば「会社は役員のためではなく、社員のために経営する。社員が豊かにならなければ、会社は豊かにならない」ということでしょうか。 ――中小企業の経営者の方にお勧めの本を教えてください。
増永:デールカーネギーの書いた『人を動かす』です。人間関係を良くしようという内容ですね。 弊社では「推薦書籍12冊」というのがあり、これを全社員で月1冊ずつ読んでいくということを行なっています。いちばん最初にこの『人を動かす』を課題書籍としました。なぜいちばん最初に選んだかというと、社内の人間関係が良くないと会社も良くならない、という考えを私が持っていたからです。 この本を読むと、人の話はよく聞かなくてはいけない、人は褒めなくてはいけない、ということがわかります。これを一方的にやっているだけでも一応効果はありますが、お互いにやったほうがより効果があります。自分しか読んでいないと、自分はちゃんとやっているのに相手はやってくれない、我慢しなくてはいけない。しかし、相手も読んで理解していてそのように接してくれれば、お互いストレスがないわけです。つまり社員全員がこの本を読んでいたほうが、社内のストレスがなくなるということです。少なくとも、社長がまずこれを読まないと、「ああしろ、こうしろと言うだけで、人の話は聞かない」となり、それでは社員にストレスを与えてしまいますからね(笑)。 ――本日は本当にありがとうございました。 増永: ありがとうございました。 |
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また、どんな逆境にあっても夢を持ち続けること、昨日までのやり方がまずければそれをスパッと変える勇気が必要であることを、教えて頂きました。取材時に応対してくださった社員の皆様の教育も大変良く行き届いており、社長の経営に対する考え方がきちんと社員へ浸透しているという印象でした。 株式公開という新たなステージへ向けて、より一層のご活躍を期待したいと思います。 取材:2005/11/30
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