2015年3月
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今回は、3月18日に発表になりました平成27年の「地価公示」についてご紹介したいと思います。 |
地価公示とは、国土利用計画法による土地取引の規制を適正かつ円滑に実施するため、国土利用計画法施行令第9条に基づき、国土交通省が毎年1回全国の標準地(平成27年は全国23,380地点、うち東京電力福島第1原発事故に伴う避難指示区域内の17地点については調査を休止)について不動産鑑定士等の鑑定評価を求め、これを審査・調整し、一定の基準日(1月1日)における正常価格を公表するものです。これは、都道府県知事が行う都道府県地価調査(毎年7月1日時点)とあわせて一般の土地取引の指標ともなっています。
平成27年1月1日時点の地価公示によると、全国平均においては、住宅地は依然として下落しているものの、下落率△0.4%と縮小傾向を継続しています。なお、商業地は横ばい(0.0%)に転換しています。
一方で、三大都市圏平均においては、昨年に引き続き、住宅地、商業地ともに上昇傾向を継続しています。また、地方圏平均では、住宅地、商業地ともに下落率が縮小しています。
都道府県地価調査(7月1日時点の調査)との共通地点で半年毎の地価動向をみますと、全国の住宅地は前半0.3%、後半0.2%の上昇となっております。商業地は前半・後半ともに0.5%の上昇となっております。
上昇地点数の割合は、三大都市圏では、住宅地の5割弱の地点が上昇、商業地の7割弱の地点が上昇しています。一方、地方圏では住宅地、商業地ともに上昇地点及び横ばい地点は増加しているものの、依然として7割弱の地点が下落しています。
東北においては、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う移転、復興需要を背景に、住宅地の上昇率は福島県が2.9%で全国1位となりました。地点別においても、いわき市が1970年の公示地価調査の開始以来初めて、上昇率上位10地点を独占しました。また、宮城県も住宅地、商業地とも上昇率2.3%で全国2位の上げ幅となりました。
地域別
変動率表
(単位:%) |
住宅地 |
商業地 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
全国 |
△1.6 |
△0.6 |
△0.4 |
△2.1 |
△0.5 |
0.0 |
三大都市圏 |
△0.6 |
0.5 |
0.4 |
△0.5 |
1.6 |
1.8 |
東京圏 |
△0.7 |
0.7 |
0.5 |
△0.5 |
1.7 |
2.0 |
東京都 |
△0.3 |
1.4 |
1.3 |
△0.4 |
2.4 |
2.9 |
埼玉県 |
△1.2 |
0.4 |
0.0 |
△1.0 |
0.7 |
0.6 |
神奈川県 |
△0.3 |
0.6 |
0.4 |
0.3 |
1.5 |
1.4 |
千葉県 |
△1.2 |
0.1 |
0.1 |
△1.3 |
0.5 |
0.6 |
半年毎の
地域別変動率表
(単位:%) |
住宅地 |
商業地 |
平成27年
(H26.1.1〜H26.12.31) |
平成27年
(H26.1.1〜H26.12.31) |
前半 |
後半 |
前半 |
後半 |
全国 |
0.3 |
0.2 |
0.5 |
0.5 |
東京圏 |
0.5 |
0.4 |
1.2 |
1.2 |
次に、住宅地と商業地に分けて見ていきたいと思います。
≪住宅地≫
緩やかな景気回復基調が続く中、低金利及び住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支え、株価上昇による資産効果や相続対策による共同住宅等への需要等もあって、下落率縮小又は上昇の継続が見られます。
東京圏においては、上昇地点の割合はやや減少していますが、依然半数以上の地点が上昇しています。また、上昇率は0.5%と昨年よりも小さくなっていますが、2年連続の上昇となりました。
特に東京都においては、23区全体で1.9%上昇しており、昨年と同様に23区内での住宅地への需要は根強く、全ての区が上昇を続けています。なお、上昇率が昨年より大きくなった区が多く見られ、特に中心区では高い上昇率を示しています。
≪商業地≫
低金利等による資金調達環境が良好なことや緩やかな景気回復基調が続く中、下落率縮小や上昇の継続が見られます。また、堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きが全国的に見られ、上昇又は下落率縮小となった要因の一つとなっています。なお、主要都市の中心部などでは、店舗について消費動向が堅調で、また、オフィスについても空室率は概ね低下傾向が続き、一部地域では賃料の改善が見られ、投資用不動産等への需要が強まっています。
東京圏においては、上昇地点の割合がやや増加し、8割弱の地点が上昇となりました。また、上昇率は昨年よりも大きくなり、2年連続の上昇となりました。
特に東京都においては、23区全体で3.4%上昇しており、景気回復に伴う事務所拡張需要の顕在化、再開発事業等の進展、好調なマンション素地需要等を反映し、多くの区で上昇率が昨年よりも大きくなっています。
オリンピックの開催が決定したことや低金利が継続する中、海外投資家等の投資意欲が高まりを見せ、投資マネーが不動産市場に流入し、三大都市圏平均では、昨年に続き上昇傾向が続いています。景気回復に伴い、駅から徒歩10〜15分位の場所や容積率200%以下の場所でも、まとまった土地はマンション業者が買いに入る可能性もあり、広大地の判断が難しくなることも考えられます。判断に迷われた際にはお気軽に当事務所にご相談ください。
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