不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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平成26年度税制改正の大綱に記載された
「相続財産である土地等を譲渡した場合の特例」における改正事項
2014年1月

今回は、平成26年度税制改正の大綱に記載された「相続財産である土地等を譲渡した場合の特例」における改正事項をご紹介したいと思います。


 平成26年度税制改正大綱が、平成25年12月24日に閣議決定されました。今回の税制改正で、「相続財産である土地等を譲渡した場合の特例」(以下、取得費加算の特例)が縮減(所得税の増税)の対象となっています。今回は、取得費加算の特例が改正された場合の影響についてご紹介したいと思います。

尚、現段階では、詳細な計算方法まで明示されていませんので、大綱から読み取れる内容を基に仮定の計算を行っています。


【取得費加算の特例について】

 土地を多く所有する地主様の場合、多額の相続税が見込まれ、保有している現金だけでは相続税を支払えないケースが想定されます。このような場合には、土地を売却して納税資金を確保しますが、相続により取得した土地を相続税の申告書の提出期限の翌日から3年以内(相続開始の日の翌日から3年10ヶ月以内)に譲渡した場合には、土地について納めた相続税額を取得費に加算して譲渡所得の金額の計算をすることができます〔措法39(1)、措令25の16〕。

 従来、取得費に加算する金額は、『その者が相続で取得した全ての土地等に対応する相続税相当額』と規定されていましたが、今回の大綱では、『その譲渡した土地等に対応する相続税相当額』に縮減すると記載されています。

■平成26年度税制改正大綱の抜粋
平成26年度税制改正大綱の抜粋


【具体的な税金の計算】

 具体例として、財産5億円を所有する方の相続が発生した場合、相続人が子供2人であるときの相続税は、1億5,210万円と見込まれます。尚、当該試算では平成27年1月1日以後の基礎控除・税率で計算しています。

(1)5億円−(3,000万円+800万円×2人)〔基礎控除〕=4億5,800万円

(2)((1)÷2×45%−2,700万円)×2=1億5,210万円

 仮に、相続税評価額が1億円の土地を1億3,000万円で売却したと仮定した場合、改正前と改正後の譲渡所得税を比較すると下記のようになり、所得税は約1,825万円の増税となります


 大綱には、「平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により取得した資産を譲渡する場合について適用する」と記載されており、相続税の基礎控除引き下げ、相続税の最高税率の引き上げと適用時期は重なります。

 相続に伴う相続税・所得税が大幅に増加し、予定していた土地の売却だけでは納税資金を確保できず、追加で土地を売却しなければならないような事態も考えられます。現段階で納税プランを見直す必要がある土地所有者様もいらっしゃると思いますので、今まで以上に譲渡所得税にご注意いただければと思います。






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