不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
レポート一覧はこちら

不動産の鑑定評価を活用した固定資産税の交換特例の適用
2013年12月

一見すると固定資産税の交換の特例(所得税法第58条関係)の適用要件を満たさないような土地であっても、不動産の鑑定評価を活用することにより、要件を満たすことを証明できる場合があります。今回は、その一例をご紹介致します。


 以下の土地(1)、土地(2)の交換をしたいとのご相談をいただきました。


 なお、交換特例の適用要件をおさらいすると以下のとおりとなります。


 単純に、土地(1)ついて前面路線価に面積を乗じると40,000千円となり、土地(2)について、前面路線価に面積を乗じると30,000千円となり、その差額は10,000千円となります。

さらに、両土地の駅接近性等を考慮すると時価ベースでは、さらにその差が拡大することが予想されますから、要件(6)に引っ掛かり、最初は特例の適用は難しいかと思われました。

 ところが、両土地の形状を比較すると土地(1)は間口に対して奥行が長く、一方で土地(2)は奥行に対して間口が長いという特徴を有していました。さらに、市場調査を行ったところ、周辺地域においては、戸建住宅の敷地としては、60平方メートル〜80平方メートル程度の大きさで区画割されているものが多く、その結果、両土地の最有効使用も戸建分譲素地であるものと判断されました。

 以上のことを踏まえて、両土地について区画割を想定すると以下のようになります。


 両区画割想定図を比較すると土地(1)については区画割後2区画が不整形地となるのに対して、土地(2)については、すべての画地が整形地となります。したがって、鑑定評価の作業を進めていくうちに、土地(2)のほうが、単価ベースでは内在する価値は高いことが判明しました。結果として、鑑定評価額(単価)は土地(1)は240千円、土地(2)は300千円となり、それぞれの面積をかけると土地(1)は46,000千円、土地(2)は45,000千円となり、その差額は3,000千円となり、要件(6)を満たすこととなります。

 このように、一見すると土地の交換を行うに際して、路線価評価ベースだと交換特例の適用が難しいと思われるものであっても、不動産の鑑定評価を活用することにより、要件を満たすことが証明できる例もございます。

 本件に似たような例がございましたら、是非、ご相談下さい。






▼ 広大地評価・判定の詳しい情報はこちらをクリック! ▼
沖田不動産鑑定士・税理士事務所