不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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更正の請求にて広大地が是認された事案(現況駐車場)
2013年6月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は、ご支援先の税理士の先生から、ご依頼頂き広大地として更正の請求を行って是認された事案をご紹介いたします。


 この度、紹介いたします事案は、首都圏某市の住宅地域に存し、現況は駐車場として利用されている面積約620平方メートルの長方形の土地です。(下記図1)

図1

 まず、おさらいですが、税務上の広大地の適用要件は、

(1)標準的画地に比して著しく地積が大きいこと
(2)戸建分譲素地が最有効使用であること
(3) 戸建分譲地として開発にあたり、開発道路等の公共公益施設用地の負担を要すること

があげられます。

 本件対象不動産は、地域の標準的画地面積が100平方メートル程度であるのに比して規模が大きく、自己利用目的のエンドユーザーからの需要はなく、また最寄駅からは徒歩圏内になく、マンション需要も見込めないため、典型的な需要者は戸建分譲業者となるものと考えられました。ただし、一見すると対象不動産は路線価が付された二つの道路(市道)に接している角地であり、奥行き等を勘案すると、上記適用要件(3)の開発道路等の公共公益施設用地の負担を要する必要がなく、広大地に該当しないものと思われます。

 しかし、ここで注意が必要です。

 当レポートで何度もお伝えしているとおり、路線価とは「国税局長が各路線ごとに評定した1平方メートル当たりの価額」をいいますが、路線価の付設は公道・私道に限らず、法律に規定されることを要件としていません。この結果、「不特定多数の者の通行の用に供されている道路」であれば、道路法や建築基準法に規定する道路に該当していなくても(以下、法定外道路)、路線価が付設されているケースが多数見受けられます。

 そこで、当事務所で現地調査及び役所調査を行ったところ、当該西側道路は建築基準法上の道路に該当していましたが、南側の道路は法定外道路のため、この道路を接面道路として、建築物等の建築や開発許可は得られないことがわかりました。

 従って、西側道路からしか接道が取れない対象不動産は下記図2のように南側法定外道路を取り込む形で開発道路を設けて戸建分譲を行うことが最も合理的な開発方法と考えられるため、広大地の適用が可能であると判断し、広大地調査報告書を作成・添付の上、更正の請求を行った結果、税務上の広大地に該当すると判断され、是認されました。

図2

 今回のケースで注意していただきたいのは、路線価が付設されていることと、建物が建てられるかどうかは別に考えないといけないということです。

 先生方に相続税土地評価のセカンドオピニオンを求められ、確認して見ると、詳細な道路の調査をせずに、広大地の適用の可否を判断してしまっているケースが度々見受けられます。実際に現地を確認し、建築基準法上の道路としての取り扱いや建築物等を建築するに当たっての条件までを調査・確認した上で、開発想定図の作成ができれば、広大地として認められる可能性が高まります。

 当事務所では、路線価が設定されている法定外道路に該当する可能性のある「道路」について、役所調査や現地調査を行うサポート業務を行っています。判断に迷われた先生方は何なりとご相談下さい。






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