不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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但し書き道路と広大地の判定
2012年11月

いつも当レポートをご愛読頂き、ありがとうございます。
今回は、いわゆる「但し書き道路」と広大地の判定についてご紹介したいと思います。


【対象不動産の状況】

 下記のように、二方路に接面する土地について広大地を検討した場合、容易に旗竿状の区画割りを想定することができるため、広大地に該当しないと考えてしまいます。しかし、下記のような土地であっても、広大地を適用できる可能性がありますので、詳しく調査を行うことが重要です。



【接道義務と但し書きの例外規定】

 建築基準法第43条の規定により、建築物の敷地は、原則として建築基準法第42条で定められた道路(オフィスレーポートVol6参照)に2メートル以上接する必要があります。ただし、上記道路に接していない敷地であっても、一定の条件により建築許可を受けることができるケースがあります。この規定が建築基準法第43条の「ただし」以降に記載されており、特定行政庁が道路とみなしたもので、いわゆる「但し書き道路」と呼ばれます。従って、この「但し書き道路」に接面していれば例外的に建築が認められます。

<建築基準法 第四十三条>
建築物の敷地は、道路に二メートル以上接しなければならない。
ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。


【建築基準法上の道路の確認】

 そこで、対象不動産が接面する道路について、建築基準法上の取り扱いを確認したところ、東側の道路は「但し書き道路」であることが判明しました。このことから、対象不動産は西側で建築基準法上の道路、東側で「但し書き道路」に接面することから二方路地と判断しがちですが、さらに留意すべき点があります。

 前記の通り、「但し書き道路」とは下記図中の(1)〜(7)のように、通常では建物を建てることができない敷地について例外的に建物がたてられる道路とみなしていることから、もともと西側で建築基準法上の道路に接面している対象不動産については、原則として東側の「但し書き道路」からの建築許可は認められません。

 従って、西側からしか接道が取れない対象不動産は開発道路を設けて戸建て分譲を行うことが最も合理的な開発方法と考えられ、広大地の適用が可能であると判断できます。



【役所調査の重要性】

 上記の事例においては、建築基準法外の道路部分にも路線価が設定されており、通常の土地評価で考えると二方路線影響加算も行うこととなるため、評価額の乖離はより大きいものとなってしまいます。住宅地図や路線価図のみでは知ることができない重要な情報がありますので、土地評価においては役所調査を行うことが重要です。

 このように、建物を建築することができるか否かは広大地を判定するうえでも重要な要素となり、「道路に接面して建物が建っている」=「当該道路は建築基準法上の道路」という発想は誤りとなります。判断に迷われた際には、お気軽に当事務所までご相談ください。





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