不動産鑑定士・税理士 沖田豊明の広大地評価レポート
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平成24年の路線価の動向
2012年7月

いつも当レポートをご愛読頂きありがとうございます。
去る7月1日、平成24年分の相続税及び贈与税の課税における土地等の評価額の基準となる路線価等(以下、路線価)が全国の国税局・税務署で一斉に公開されました。そこで今回は、路線価の動向についてご紹介したいと思います。


 ご存知の通り、路線価は、毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、売買実例価額、不動産鑑定士等による鑑定評価額、精通者意見価格等を基として算定した価格の80%により評価されています。

 平成24年分の宅地に係る全標準地(約36万地点)の標準宅地の変動率は、前年比2.8%減となりました。当レポートでも毎年路線価についてお伝えしておりますが、これで4年連続の下落となります。しかし、下落はしているものの、全国平均では去年より下落幅が縮小されており、特に大都市圏では2%未満の下落だったところが多く、底打ち感も強くなってきているようです。ですがその一方で、依然として大幅な下落が続くところもあり、一概に下落幅の縮小が全国的なものとは言えないようです。

地域別変動率
(単位:%)
全国 東京都 千葉県 埼玉県 神奈川県
平成23年 ▲3.1 ▲2.0 ▲1.9 ▲2.5 ▲1.4
平成24年 ▲2.8 ▲1.2 ▲2.0 ▲2.4 ▲1.1

 全国及び一都三県における平均路線価の変動率は上記の通りとなっております。前述の通り、どの都道府県でも価格の下落は続いておりますが、全国的にみると前年より下落率は縮小されています。下落率が特に小さかった都道府県は、愛知県(0.5%)、沖縄県(0.9%)などで、この他にも21都道府県が下落幅を縮小しています。逆に下落幅が大きかったのは、高知県(9.0%)、徳島県(7.6%)などで、この他にも19都道府県が下落幅を拡大するという結果になっています。ちなみに、東日本大震災の被災県における下落率をみると、岩手県や宮城県は前年に比べほぼ横ばいだったのに対し、福島県は前年の3.3%からほぼ2倍の6.7%へ、茨城県でも前年の4.0%から5.5%へと下落率の大幅な拡大がみられました。

 大都市圏では下落率が縮小され、底打ち感が出てきているとは言え、全国的にはまだまだ下落の傾向にあり、依然として不動産を取り巻く環境は厳しい状況のようです。路線価の変動率のみで景気は判断できませんが、今後も全国的にどのように変動しているのか注目していきたいところです。






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