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4)役員退職金の損金算入限度に関する適正額の算出方法

 役員退職金の上記適正額(損金算入限度という意味での適正額)の算出については,類似法人の功績倍率などを参考にして計算する方法が代表的である。

 つまり,「最終報酬月額×在任年数×役位別功績倍率」という計算式によるものだ。

 たとえば,社長の最終報酬月額を150万円とし,在任年数20年,功績倍率を3とすれば,「150万円×20年×3=9000万円」ということになる。

表2
役位 会長 社長 専務 常務
功績倍率 2.5程度 3程度 2程度 1.5程度

 いずれにしろ,各企業で,それぞれの状況から顧問税理士の方などと相談して決定することとなるだろう。

 さて,この功績倍率方式の場合,役員在任年数をすべて最終時点の役位で退職金に反映させることになる。このため,創業者などはともかく,たとえば最終的に社長であったが常務や専務の期間が長かったような場合には,計算上それらのプロセスが反映しないという問題があり,退職金が必要以上に高額化してしまうようなことも考えられる。このため,それらを反映させる意味で,

「役位別最終報酬月額×役位別在任年数×役位別功績倍率の合計」

という計算方法もある。

 たとえば,表3のようなプロセスを経て最終的に社長となった場合を想定してみよう。

表3
役職 役位別最終報酬月額 役位別在任年数 役位別功績倍率
社長 150万円 10年
専務 120万円  6年
常務 100万円  2年 1.5
取締役  80万円  2年 1.5

 社 長 150万円×在任年数10年× 3 =4500万円
 専 務 120万円×在任年数 6年× 2 =1440万円
 常 務 100万円×在任年数 2年×1.5= 300万円
 取締役  80万円×在任年数 2年×1.5= 240万円

 合計=6480万円が役員退職金ということになる。

 上記で算出した退職慰労金の額は,生存退職の場合でも死亡の場合でも基本的には同様である。ここではまず生存退職の場合を想定して,この算出した金額から加入すべき保険の額を算出してみよう。



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