タナベマネジメントレター

コンサルタンツ・EYE

『本社費の棚卸し〜経費のスリム化〜』

(2016.12.05)

 飲食業を営むA社から、本社費を2/3に圧縮したいという相談があった。A社の社長は2代目。先代から会社を引継ぐとき、借入金は売上高の25%以内にするというKPI(重要業績評価指標)を決め、これまで守ってきた。

 しかし、収益性の厳しい昨今の経営環境下で自己資金が予定より不足し、来期の売上目標達成のために出店すると、KPIが守れなくなる恐れが出てきた。

 早速、筆者を含むコンサルティングチームは本社費の調査に乗り出した。調査の切り口は「組織区分上の費用認識」「ベンチマーク企業との費用格差」「個別経費の使用状況」の3つである。

 「組織区分上の費用認識」とは、本社の組織とメンバーが本来行うべき業務を適正に行っているか調査するものである。管理部門はルーチンワークが多く、組織や担当が大幅に変わることが少ない。そのため仕事が効率化しても、昔の名残や惰性で不要な業務をそのまま行っているケースが多い。調査の結果、多くの無駄な業務が見つかり是正した。

 「ベンチマーク企業との費用格差」は、ライバルやモデル企業と比較し、どの程度の費用格差があるかを調べるものである。同じ業種、同じ仕事をしていても、会社によってかかるコストは違うものである。各種調査資料を元にコスト比較と原因追求を行い、明らかに高い経費は見直しを行った。

 「個別費用の使用状況」は、経理上の費用を目的別に分類することから始める。「決算処理コスト」「人事処理コスト」「店舗対応コスト」「将来発展コスト」などの区分けを行い、どの目的にいくら金額をかけたかを明確にする。自社で実施するか、もしくは外注するかの判断を行い、さらに細目ごとに金額の大きいものから順に価格交渉を行った。

 これらの見直しで、本社費を2/3に圧縮することができた。結果、予定通りの出店でA社は売上高を達成、経費もスリム化して過去最高益を更新したのである。

 本社費は放置すれば増えるものだ。本社費の棚卸しを定期的に実施すべきである。

以 上

本レターの内容につきましては万全を期しておりますが、ご利用によって被ることのある損害に対しましては責任を負いかねますのでご了承ください。掲載された記事の著作権は、すべて(株)タナベ経営および原著作者にあります。

(1) 上記コンテンツは、
タナベ経営 メールマガジン『マネジメントレター(無料)』より掲載しております。
詳しくはこちら

□発行・編集 (株)タナベ経営 ネットワーク本部
□〒532−0003 大阪府大阪市淀川区宮原3−3−41
         URL  http://www.tanabekeiei.co.jp
         MAIL nw@tanabekeiei.co.jp