タナベマネジメントレター

コンサルタンツ・EYE

『基本動作を活用した職場活性化』

(2016.11.16)

 筆者のもとには日々、多くの経営者からさまざまな相談を寄せられるが、この半年間だけで「職場に活気がない」「仕事とプライベートの区別がない社員が多い」「若手に元気がない」といった不満をよく耳にした。これらに共通している点は、大きく2点ある。

1.就業前のケジメが不十分

 多くの企業は毎朝、朝礼を実施している。そのほとんどは、その日の業務の確認や目標数値の進捗報告などである。前述のような相談をいただいた際、筆者はまず、「活気がある朝礼をしていますか?」と聞くことにしている。ほぼ例外なく、答えは「朝礼はしているが、活気がない」である。

 実際にコンサルティングを実施する場合は、必ず朝礼を見せてもらう。「活気がない」と嘆く経営者の企業の朝礼は、総じて参加者の声が小さく、進行のテンポも悪いという特徴が見られる。これでは、社内に活気が生まれないのも当然である。

 朝礼は、自社の方向性の確認や社内で情報を共有することなどが目的だ。しかし、単なる業務連絡の場ではない。業務連絡なら、わざわざ全員が一堂に会する必要はなく、連絡事項のメール一斉配信でも事は足りる。むしろ、「さあ、今から仕事を始めよう」というケジメの役割のほうが大きい。朝礼は、全員が気持ち良く1日のスタートを切るための導火線となるのだ。

 何事も最初が肝心。始め良ければ終わり良しだ。スタートに失敗すると、後の流れが悪くなる。個人だけでなく全体のペースまで乱れる。朝礼では大きな声、キビキビとした動き、スムーズな進行を心がけていただきたい。不十分なら、できるまで朝礼をやり直す。ケジメのある朝礼を徹底するだけで、社内は活気づく。

2.ベテランほど基本動作が「×」

 若手には「挨拶は大きな声でハキハキと!」と注意しながら、当の本人は挨拶をしない、挨拶されても返さないベテラン社員が多い。これも、職場の雰囲気を悪くする一因である。

 もちろん、若手の基本動作を指導するのは上司や先輩の役目だ。しかし、上司や先輩が出来ていないと、「あなたにだけは言われたくない」と若手の誰もが思うだろう。とは言え、それを口に出すわけにもいかず、しぶしぶ指導に従う。そうした不満が若手から元気を奪い、職場の雰囲気もさらに険悪になっていく。

 若手は、上司や先輩のマネをして育つ。上司や先輩の基本動作がしっかりしていると、自然と若手も基本動作を行うようになる。したがって、まず上司や先輩などベテラン社員に、基本動作を徹底してもらう必要がある。

 例えば、ベテラン社員を対象に月1回、基本動作研修を実施する。その上で、上司や先輩の側から先に、若手へ挨拶することを励行させるとよい。「挨拶は若手が先にするものだ」という意識を変えさせる。若手・ベテランに関係なく、全員が規律やケジメのある行動を実践すれば、職場は必ず活性化する。

 職場活性化は、決して難しいことではない。上記も、当たり前のことばかりである。しかし、こうした当たり前のことを、当たり前にできない企業がなんと多いことか。

 この基本動作という「当たり前」を徹底できたとき、あなたの会社の組織力は飛躍的にアップするだろう。基本動作は、他社との差を付ける大きな武器になるのである。

以 上

本レターの内容につきましては万全を期しておりますが、ご利用によって被ることのある損害に対しましては責任を負いかねますのでご了承ください。掲載された記事の著作権は、すべて(株)タナベ経営および原著作者にあります。

(1) 上記コンテンツは、
タナベ経営 メールマガジン『マネジメントレター(無料)』より掲載しております。
詳しくはこちら

□発行・編集 (株)タナベ経営 ネットワーク本部
□〒532−0003 大阪府大阪市淀川区宮原3−3−41
         URL  http://www.tanabekeiei.co.jp
         MAIL nw@tanabekeiei.co.jp