「人材格差が企業間格差である」と古くから言われる。自社の社員育成については、どの企業も関心が高い。
昔に比べて事業変化のスピードが早くなり、これまでの人材育成ではそのスピードに追いつけず、競争優位性を失ってしまうこともある。つまり、これまでの「人の成長を待つ」という考え方から、必要な人を必要な時に活かすため“人材を開発する”という考え方を持つことが重要だ。
人材開発で必要な視点は、次の3点である。
今だけではなく、将来必要な知識・技能はどのようなもので、どのような人材が、どの程度必要なのかを把握する。また、その人材はアウトソーシングすべきなのか、自社で開発すべき人材なのかを切り分けし、自社で開発すべき人材を集中的に育てる。現在志向だけでなく、未来志向で考えることが必要である。
「人材育成=社員教育」という考え方があるが、人が成長するのは実務を通じてである。したがって、成長の場(仕事や役割)を与えることが早道だ。教育は、それを後押しする手段の一つに過ぎない。よって、どのタイミングで、どのような仕事や役割を任せるのかを示すキャリアマップを作成し、それに沿った人材開発を行うと良い。
これまでの日本企業の人材育成は、集合教育型で「皆一緒に」という形式が多かった。多少、そのレベルに違いはあるだろうが「同一の教育を、できるだけ同じタイミングで受けさせる」という考え方であった。
人材育成という観点ではそれで良いだろう。しかし、人材開発という観点に立てば、能力のある社員には早期に必要な教育を受けさせ、必要な場(仕事や役割)を与えることが重要だ。つまりエリート教育が必要である。
冒頭でも述べたとおり、事業変化のスピードは昔とは比較にならないほど速くなっており、今後も加速し続けるであろう。「そのスピードについて行ける人材が揃っている」と胸を張って言える企業は、どれくらいあるだろうか。
企業成長にとって、避けては通れない道である。これから否が応でも手を打たなければならない。ぜひ未来志向で人材開発に取り組んでいただきたい。
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