プレイング・マネジャーであるあなたは、「部下の成長を部下と共に喜び合う」ことができているだろうか。部下を育てるプロセスは、簡単ではない。部下を育てるという心境に至る経過には、プレイング・マネジャー自身の成長がなければならない。
困るのは、職制上はプレイング・マネジャーではあるが、中身は部下を育てる意識に目覚めていないタイプ。さらに困るのは部下と競合するタイプだ。欠点ばかりを指摘し、指摘から糾弾にエスカレートする。成長を願う愛情のかけらすらなければ、当然ながら部下の心は離れるだろう。
職場は冷気に覆われ、派閥ができて相互不信がはびこる。典型的な部下殺しだ。このタイプのプレイング・マネジャーの悲劇は本人だけの悲劇ではない。職場と企業の惨劇であり、この後遺症は深く大きい。
部下を育てるプレイング・マネジャーには、「怒鳴る」「怒る」「叱る」「教える」「育てる」という5つのタイプがある。
「怒鳴る」だけでは絶対に部下は育たない。むしろ、反感と反発しか残らない。「怒る」タイプも部下を育てる器量ではない。「怒鳴る」「怒る」タイプに共通する欠陥は、「相手のために」「君の成長を願って」という相手への愛情がないことだ。自分中心、自己の感情のままに「怒鳴り」「怒っている」に過ぎない。
当人は「いや、そうではない。成長を願って・・・」と言うだろう。しかし、相手の心の中に「自分のために怒鳴ってくれている」という感謝の念がわかない限り、所詮は戯事に過ぎない。
「良くなってもらいたい」という愛情を持って「叱る」ことのできるプレイング・マネジャーは頼もしい。しかし、叱ることのできないタイプは部下から「頼りない」「いざという時に信頼できない」と軽視されがちだ。
「叱る」ことのできる幹部には3つの特徴がある。
第1に愛情。第2に部下の長所と欠点を観察して知っている。欠点を指摘するなら誰でもできる。しかし、長所を活かしきれない努力不足を「叱る」ことはなかなかできない。部下の「自分のことを知ってくれている」という思いは信頼感に変わる。
第3は幹部としての自信だ。自信と過信は違う。過信の言動に部下は共感しない。共感がないから納得しない。幹部の自信とは過去の正しい体験に裏打ちされたものでなければならない。
「教える」ことのできるプレイング・マネジャーは尊い。部下を育てる意欲と能力を持つプレイング・マネジャーをつくる企業こそ、真の優良企業なのだ。
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