タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE

『部門方針が部下に伝わっていますか?』

(2016.04.25)

 コンサルティングの現場で、筆者は「部門方針が部下に伝わっていますか?」という質問をよくする。すると「部下を集めて部門方針を説明したから理解している」と解答されるものの、部下に聞いてみたらほとんど伝わっていないというケースが多い。

 これは「伝えたから伝わったはず」と上司があくまで思い込んでいるだけで、実際には何も伝わっていないということだ。この思い込みを排除しなければ目標達成はできない。

 ではどうすればいいのか。まず「伝える」≠「伝わる」という概念を理解することが必要である。「伝える」とは発信者側の「行為」、「伝わる」とは受信者側の「状態」であり次元が違う。そのため、発信者は「自分の思い通りには伝わらないものだ」と認識しなければならない。

 その上で取らなければいけない行為は次の3点である。1点目は「粘り強く伝える」、2点目は「わかりやすく伝える」、3点目は「伝えたいことを自らが率先する」である。

 1点目の「粘り強く伝える」とは、伝える機会を何度も作るということである。つまり伝えたい内容を一度の説明だけでなく、定例の会議の場、毎日の朝礼、さらには同行した際の雑談の中などで、何度もしつこいくらい発信していくということである。

 2点目の「わかりやすく伝える」とは、誰もがイメージしやすい表現をするということである。事例を交えて話す、あるいは部下の行動まで落とし込むことが必要となる。

 例えば、筆者のクライアント先の部長は「お客様満足の追及」という考え方を理解させるため、具体的にお客様から問い合わせが入った後、5分以内に必ず電話して何らかの対応をとると決め行動させた。これにより、どのような行動がお客様満足の追求につながるのか、ということへの理解を促したそうである。

 3点目の「伝えたいことを自ら率先する」とは、まさしくその言葉どおり、伝えたいことをそのまま自分の行動に反映させるということである。

 具体的には「常に新しいやり方を追求する」という考え方を伝えたいのであれば、自らも常に新しいやり方を部下に示していくことが必要である。

 その行動を見て部下は理解するのだ。

 以上のことを常に実践し、「伝える」=「伝わる」を目指していただきたい。

以 上



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