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『全体最適・異分野で実績を示せ』(2016.04.08)
親であっても、子であっても、また親の代の幹部社員であっても、後継経営者に対する不安は尽きない。親が豪腕経営者やカリスマ経営者、創業者であれば尚のこと、後継経営者に不足を感じるものである。実際に後継経営者に不足がある場合も多い。主な症状は次の5つであろう。 1.公卿(コウケイ)者<理論先行現場感覚ゼロ> いわゆるお公卿さん的後継者。預かり社員からの転籍や、総務畑・経理畑のみの経験者に多い。現場感覚がなく判断の基準を持たないため、実績を数字でしか測れず、指示命令が的確にできない。また極短期の数字変化に敏感に反応しすぎて、言っていることがコロコロと変化する。 2.好景(コウケイ)者<計数オンチのバランス不足> 景気のいいことばかり言い、お金を潤沢に使うが、使い方を知らない後継者。バランスシートやキャッシュフローが分からないために、過剰投資や在庫過多などの症状で会社をつぶしてしまう。 3.狡計(コウケイ)者<人を信じず信望を得られない> 人に対してドラスティックにしか判断ができない後継者。官僚型の組織編制を好んで、営業上の実力者などを謀で排除することに腐心したり、金の力で人を動かそうとしたりと、信望を得られなくなる。 4.拘繋(コウケイ)者<過去に固執し新分野に投資できない> 設備のメンテナンス投資などはできるが、未来を獲得するための投資ができない後継者。環境適応の判断を下せず、赤字事業を延命したり、新規事業・新規分野への大型投資を後追いでしかできなかったりするため、顧客からの信望をなくす。 5.光景(コウケイ)者<リーダーシップなし、人と関わらない> いるだけの後継者。人と極力関わらないようにし、判断を一切しないため、ただのお飾りになる。自分に自信を持てず発信できないため、院政や番頭支配政治が起き、幹部クラスの離反や汚職などが次々と起こる。 後継経営者を育成する場合、速成で全社を知るというキャリアを積むため、営業・開発など攻めの業務でトップを得ることは難しい。その結果、営業面のイニシアチブが取れずに、後継経営者は自分自身への確たる自信(実績)を持たず、上記のような症状に陥りやすい。 対策としては、全社に関わる異質の実績を上げることである。3人の社員の信望を得て経営者となったある後継経営者は、資材商社における機械販売部門の立ち上げ、機械商社における開業支援特殊チームの立ち上げ、全社プロジェクトの牽引と、これまでの営業実績とは別の組織立ち上げを通じて、実績を作り信望を得るに至っている。 社員は後継経営者に対して、この人は自分の人生を捧ぐに相応しい人物かを見ている。その中で「異質」な実績を上げることは、全社員に挑戦し続ける経営者であることを誇示する。後継経営者育成の着眼とされたい。 以 上
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