タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『人事考課を通じた人材育成』


 人事制度がうまく機能するか否かは、構築3割・運用7割と言われる。現在お手伝いさせていただいている会社では、昨年5月からプロジェクトを立ち上げ、幹部メンバーを巻き込みながら実力基準表やスキルマップ、考課表を協力して作成してきた。

 昨年の12月から数回にわたって社員説明会を行い、この4月から新人事処遇制度の運用を開始する予定である。現在は、新制度運用開始後初の考課に備え、考課者研修と被考課者研修を行っている。

 考課者研修で、各考課項目に対して(例えば積極性の3はどのような状態かなど)確認してみると、考課者によって非常にバラツキがあった。当然、幹部メンバーは実力基準表やスキルマップ、考課表の策定に参画していたわけであるが、考課者研修を行ってみて初めて考課者間の甘辛が判明したのである。

 いくら考課表の策定に参画していても、実際の運用となるとあやふやな点が多々出てくるものだ。これらをしっかり統一しておかなければ納得性の高い評価は程遠く、返ってモラールダウンにつながりかねない。

 被考課者研修では、実際の考課表を用いながら詳細説明をすると、全体説明会ではほとんどなかった質問が次から次へと出てくる。新制度を知ろう、あるいは活用して自己の成長につなげていこうという姿勢に変わってくるからだ。

 人事考課を処遇決定の仕組みと捉えると、悪い結果を伝えられない、あるいは悪い評価をつけられないといった弊害が生じやすい。制度運用の巧拙が社員の納得性を大きく左右し、モチベーションにも大きく影響する。

 人事制度は評価だけでなく教育、能力開発、キャリアパスなどを含んだ形で総合的に成り立っている。ゆえに上司(考課者)は「部下を的確に評価→目標とのギャップを正しく認識させる→新たな課題を設定」というサイクルを回す手助け、つまり部下を育てるという重要な役割を担う。

 自社の人事考課表を運用する中で、的確な評価をする「モノサシ」は確立されているだろうか。「モノサシ」は一度決めたら終わりではない。定期的に基準の内容をすり合わせていくことも必要だ。

 この機会に、自社の考課基準の「モノサシ」を確立する取り組みをおすすめすると共に、人事考課を通じた人材育成に取り組んでいただきたい。

以 上



本レターの内容につきましては万全を期しておりますが、ご利用によって被ることのある損害に対しましては責任を負いかねますのでご了承ください。掲載された記事の著作権は、すべて(株)タナベ経営および原著作者にあります。


(1) 上記コンテンツは、
タナベ経営 メールマガジン『マネジメントレター(無料)』より掲載しております。
詳しくはこちら


□発行・編集 (株)タナベ経営 ネットワーク本部
□〒532−0003 大阪府大阪市淀川区宮原3−3−41
         URL  http://www.tanabekeiei.co.jp
         MAIL nw@tanabekeiei.co.jp