タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『自社の強みを磨く制度をつくる』


 人事制度に関心のある経営者は非常に多い。それは、社員の給与や昇給に対する納得度に関心があることと、働く意欲をさらに高めたいがそこに問題があると感じている経営者が多いともいえる。

 では、人事制度を見直せば「社員の納得度、働く意欲が高まり、業績が向上するか」といえば、そう簡単なことではない。ここに人事制度構築の難しさがある。

 社員が50名を超えると仕組みが必要となり、必要に応じて資格等級、評価教育、賃金といった一通りの仕組みを整えようとする企業が多い。

 しかし、制度の運用が給与査定にとどまり、意欲向上や業績アップに繋がる真の経営システムとなっていない企業が多いと感じる。

 人事制度とは仕組みである。賃金も評価も教育も、業績を上げ続けていくためには欠かせないが、これは仕組みであり手段である。

 では、人事制度構築の目的とは何か。

 企業経営とは、突き詰めていえば経営理念の追求であり、ビジョンの実現、戦略の実行にある。この理念・ビジョン・戦略に沿って、従業員一人ひとりに努力すべき方向を示し、自社の競争力を向上させるものでなければならない。

 とくに運用面では、この考え方のもとで、社員一人ひとりの成長意欲と企業の向かうべき方向を一致させることが極めて大切なポイントである。

 しかし、現実として企業の競争力を磨くといった視点で人事設計し、運用されている事例はまだまだ少ない。

 人事制度設計においてまずしなければならないことは、経営理念、戦略から「企業として磨くべき強みは何か」を明確にすることである。

 そこから、顧客にどのような価値を提供するのか、そのためにはどのような人材が必要か、どのような人材に育ってもらいたいか、といった「求めるべき人材像」を定義することだ。

 この「人材像」を人事フレーム(等級)、評価、賃金、教育といった仕組みへ落とし込むことがポイントとなる。このポイントを押さえ、給与のための制度から、自社の強みを磨き企業価値を高める制度へと見直していただきたい。



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