タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『開発型風土を醸成する経営システム』


 企業において新規事業・新規分野の開発・開拓は大きなテーマだが、実際に推進するには大きな壁があるのもまた事実である。

 新規事業・新規分野がうまくいかない理由としては、自社が参入する最適なマーケットが選択できない【マーケティング力不足】、自社の強みが認識されていない【現状認識不足】、新規事業を推進するヒト・モノ・カネの不足【経営資源不足】というのが代表的である。

 しかしながら、これらの条件を全て備えただけでは新規事業・新規分野の開拓・開発を推進するには不十分である。新規事業など、新たな価値観を導入するにあたって最大の壁となるのは「組織風土」である。

 とくに、特定マーケットにおいて特定ユーザーを中心にビジネスを展開している企業は、全くの異業種である新規事業・新規分野の開拓に対する意識は低い。たとえ最適なマーケットの選定ができたとしても、結果的に目先の既存ユーザーへの対応を優先してしまうなど、組織風土が制約となるケースが多い。

 では、いかに開発型風土を醸成していくのかであるが、重要なのは経営システムである。中期ビジョン・経営方針において、開拓・開発推進のテーマを最上位に掲げるとともに、トップが具体的にその重要性について何度も語り続けること。そして、人事評価の仕組みも開発型に再構築することが重要である。

 開発型企業の評価制度において、とくに重要なポイントは以下の5点である。

 1.原則、加点主義で評価し、チャレンジして失敗したことについては減点しない。

 2.業績・成果評価のウエイトは既存事業<新規事業となるように設定。

 3. 開発力のベースとなる知識・技術を「スキルマップ」で見える化するとともに、評価として活用する。

 4. 単なる新しモノ好きで終わらせないように、新規事業に対するチャレンジ行動+粘り強い取組みを評価する。

 5.ある程度の自由度は認めながら、最低限の職場ルールの遵守・規律性は評価する。

 新規事業・新規分野の開発・開拓という大きなテーマに取組む前提として、開発型風土を醸造すべく経営システムを見直し、第一の壁を乗り越えていただきたい。はありませんか。



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