タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『会議でその会社の程度がわかる』


 筆者は仕事柄、さまざまな会社の会議に参加させていただき、企業の栄枯盛衰に向き合ってきた。そこで考えさせられるのは、「会議はその会社の成長段階を如実に表している」ということだ。

 “会して議せず、議して決せず、決して行わず”とは、ダメな会議を表わす代表的な諺だ。ダメな会議の特徴は、時間通りに始まらない、もしくは何だかんだと理由をつけて中止になる。

 とくに零細企業は一人三役も四役もこなし、社長も例外ではなく見境なく忙しい。それを口実に、会議よりも目の前の仕事に重きを置き、会議をそっちのけにしてしまう。またその判断が正しいと信じている。ゆえに“会して議せず”どころか“会せず議せず”となる。

 筆者は以前、『年商3億円を超える会』と『年商10億円を超える会』を主宰したことがある。名称の通り『年商3億円を超える会』のメンバーの会社規模は年商1億〜3億円未満、『年商10億円を超える会』は3億以上〜10億円だ。

 両会とも月1回定例的に合同コンサルティングを行っていたのだが、回を重ねていくうち、両会の決定的な違いに気付いた。『3億円を超える会』は全員が定刻通りに集まることができない。一方『10億円を超える会』は、ほぼ定刻通りに集まる。

 これは両会メンバーの意識の違いであり、“現在”と“未来”を天秤にかけた結果とも言える。目先の業務に忙殺され、“会せず議せず”で将来を見据える一歩先の価値判断基準を持たせられない企業に、成長などあるはずもない。

 “会して議せず”は社長の独演会となり、議論せずに社長が全てを決める会議の姿である。この要因は、組織を育てるという観点がないことだ。

 「育てるよりもまずは実績だ」と目先を優先した結果、組織を育てるということが後回しになっている。

 組織が育つとは、問題解決能力の向上に他ならない。大きな仕事は組織の大きな力による。一人より二人、二人より三人、三人寄れば文殊の知恵である。

 “議して決せず”の問題の要因は、トップの“志”に対するパッション(=情熱)の大きさに起因する。とくに優柔不断のトップは会社を滅ぼすと言われる。“決して行わず”の要因は組織の体質が弱いことに起因する。

 経営は妥協点で決まる。トップや幹部がどこで妥協しているかである。当然、妥協点が高ければ業績も良く、低ければ悪い。“何がどうあっても絶対に負けない”という精神が人を育てると言われる。妥協点が高ければ人も育つが、低い会社は人材が活かされていない。この妥協点は、社長や幹部の自身に対する厳しさの程度で決まる。

 一事が万事。会議を充実させて自社の経営を知り、成長企業の経営を身に付けようではありませんか。



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