タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『改・廃・新で付加価値を高める』


 A社は、一般住宅を中心とした設備工事業である。昨年から得意先の改・廃・新に取組んでいる。

 まず、得意先分析として3年間の業績(売上、粗利益、粗利益率、件数、1件当りの平均額)の推移から、次のようなABC分析により現状認識を行った。

Aランク 自社にとって売上、粗利益、件数の構成比が高く、3年連続増加しており、かつ粗利益率22.0%以上の得意先
Bランク 売上、粗利益、件数は伸びているものの、粗利益率の改善(22%以下)が必要な得意先
Cランク 売上、粗利益、件数はまだ少ないものの、今後成長が見込める得意先
Dランク 売上、粗利益、件数が減少している得意先

 そして、「脱下請けの意識改革と現状否定」の方針を社長から打ち出し、社長を含め、役員、営業担当と話し合い、得意先の改廃新を検討した。

 改: Bランクの得意先は、粗利益率の改善のための提案。まず、粗利益率下位の得意先をターゲットに追加工事の請求(深夜作業割増)や原価見直しを提案する。

 廃: Dランクの得意先は下位から、無理な工程の変更や追加工事の請求など契約の見直しを提案。再契約が難しいようなら猶予期間を与え、その後に取引中止と判断する。

 新: 新規得意先(年間20件以上の物件数を扱っている先)の開拓。リストアップ先には三層営業を行い、半期で3件の得意先を開拓目標とする。

 役員を筆頭に改廃新を実行し、3カ月連続過去最高益を樹立。さらに粗利益率が2%改善した。社員が一丸となって「脱下請けの意識改革と現状否定」の方針に従い、実行したからこそ出た結果だ。社長は社員全員に大入り袋を出したそうだ。

 「今までの粗利益率で売上を伸ばせば、利益が増加する」という考えを一掃し、社員一人ひとりが「われわれの存在価値、提供する主力商品・サービスの価値は何か」を再認識すべきだ。

 粗利益率=付加価値率である。粗利益率の改善で付加価値の高い商品・サービスを提供し、業績向上・改善に着手していただきたい。



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