タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『リスクマネジメントの重要性』


 企業は環境適応業であり、環境変化に対応できる企業のみが生き残ることができる。現状の企業経営は二極化の様相を呈している。筆者のクライアントもまさに二極化しており、業績の良い会社では「株式上場を検討したい」「M&Aで会社を買収したい」などというニーズがある一方、業績の厳しい会社も多数ある。

 業績が厳しく、危機に陥る会社の特徴は、主力製品の売上の落込み(あるいは蒸発)、または主力取引先の売上の落込み(あるいは倒産)である。

 亀山モデルで一世風靡したシャープは液晶テレビが競争力を失い、世界ナンバーワンの携帯電話会社であったフィンランドのノキアは、スマートフォン移行の流れに乗り遅れ、ともに厳しい状況である。

 そして、これらの先に部品を納めていたメーカーも当然業績が厳しい。3カ月ほど前、携帯電話のボタン部分のメーカーであるポリマテックが民事再生法を申請したが、これは主力製品と主力取引先の売上が激減したためである。また、親会社が海外生産にシフトしたことにより、発注が激減している中小企業も多数ある。

 これらの事例の教訓は、主力製品や主力取引先と言えども1製品、1社に売上が集中し過ぎることは危険だということである。

 「卵をひとつのカゴに盛るな」という原則がある。卵をひとつのカゴに入れたまま転べば、すべて終わりという意味である。経営の原理原則から言えば、リスクマネジメント(リスク分散)が重要だということである。

リスク分散は具体的には「主力製品は売上の15〜30%」「1社取引は売上の15〜30%」である。また、この時の損益分岐点操業度は70〜85%(売上があと15〜30%減少すると赤字となる水準)でなければならない。つまり主力製品・主力取引先がなくなっても黒字であるためのリスクマネジメントである。

 中堅・中小企業の戦略がニッチナンバーワン戦略であることに間違いはないが、重点3事業、重点3製品、重点3取引の強化など、3本柱経営によるリスク分散を忘れてはならない。



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