タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『無駄な社員トレーニングは今すぐやめよ』


 「社員トレーニングの目的は何ですか?」

 筆者が新しくコンサルティングに入った企業で必ず中堅幹部に聞く言葉だ。「社員の意識を変えるため」、「個々の成長を促すため」など、もっともらしい答えが返ってくるがいずれも間違った考えだ。正しくは「利益に繋げるため」である。

 社員トレーニングには、一般的にOJT(職場内訓練)・OFF−JT(職場外訓練)・SD(自己啓発)とあるが、どのような手法を使うにせよ最終的に成果は利益に繋がらなくてはならない。もちろん成果に繋がったかどうかを評価しなければ、トレーニングの目的は利益だと言うことはできない。

 そこで、トレーニングの成果を評価する手法を解説しよう。

1.定量化できるもの

 正しいオペレーションを理解させ、スキルを向上させるトレーニングは比較的成果が見やすい。飲食店であれば、1時間あたりの売上高を示す人時売上(売上高÷労働時間)や粗利を示す人時生産性(粗利÷労働時間)、そして客捌き(客数÷労働時間)などがある。製造業であれば、不良率や残業時間などでも評価することが可能だ。

 しかし、これらをトレーニング実施前と実施後に指標化し、評価している企業は残念ながらほとんどないだろう。

2.定量化できないもの

 理念・方針の理解や役職別研修などがこれに該当する。日常の人事評価だけでは埋もれてしまっている人材を見つけることができれば、それこそ利益に直結する。

 ただし予算の消化のため、社員の覇気がないなど、表面的で漠然とした目的のために研修をしてもあまり意味がない。必ず成果目標を明確にし、研修後も定着するまで研修の主管部門がフォローアップする必要がある。

 何のためにトレーニングをするのかもう一度よく考えていただきたい。企業の目的は永続発展することであり、そのために顧客創造がある。このような企業になるために社員のレベルアップは必須だ。しかし、時間や費用をかけるだけならやめてしまったほうが良い。

 たかがトレーニングひとつでも指標化し、これをコントロールするまで徹底できなければ、いくらトレーニングを重ねても利益に繋がりはしないのである。



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