タナベマネジメントレター


コンサルタンツ・EYE
『問題は何か、何が問題か』


<問題は何か>

 問題とは“現状とあるべき姿とのギャップ”と定義することができる。こう考えると、何が問題なのかわからない、また問題意識が乏しいと思える人は“現状”若しくは“あるべき姿”をよく理解していないといえる。

 例えば、「今月の目標は?」と聞いて答えられない営業は、目標達成に向けた行動はできないだろうし、現状の実績を意識していない営業もしかりである。これは営業担当者に限った事ではない。

 また、課題と問題とは違う。よく混同した表現をする場合があるが、課題とは現状とあるべき姿のギャップを詰めることを意味する。顧客開拓○○件、営業担当者の能力アップ、リードタイムの短縮・・・どれも課題であり、問題ではない。

 企業経営において経営改善を進めるには、まず現状を正しく整理し、問題の本質を押さえなければならない。あるべき姿とは経営理念やビジョン・戦略・方針・目標の達成であり、これを理解せず「問題は何か?」と問われても、そもそも何が問題なのかわからないであろう。問題を的確につかんだ上での対策と、皆の目標達成に向けた意識と姿勢が、より良い成果を上げる絶対条件なのだ。

<何が問題か>

 ある労務担当者に問題をお伺いすると、「若手が多く中堅社員が少ない」という答えが返ってきた。中堅社員が少ないことそのものが問題ではない。例えば、中堅社員が少ないため技術レベルが下がり品質が低下しているなど、どのような弊害が発生しているかが問題である。

 多くの方と経営課題について話す機会があるが、「コミュニケーションが不足している」「管理職の教育ができていない」といった抽象的事実をよく話される。しかし、コミュニケーション不足の何が問題なのか、管理職の教育不足の何が問題なのかを言葉にできていないことが実に多いと感じる。

 また「コミュニケーションが不足し、クレームが増えている」「現場のモチベーションが低いため、生産性が上がらない」といった問題認識では、その本質をつかむことはできない。コミュニケーション不足で、誰と誰のどのような会話ができていないのか。現場のモチベーションは、誰と誰の意欲が下がり、どれだけ生産性が下がっているのか。

 常に事実をつかみ、その中から何が一番の問題かを考えなければ本質を捉えることは難しい。「問題は何か、何が問題か」を日常業務の中で常に意識し、本質的な改善につなげていただきたい。



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